【代表の想い】vol.11 [或る庭師との出会い]


皆様こんにちは。清水園でございます。 本日お話させていただくのは、代表が「庭師で一番リスペクトしている」ある庭師の方との出会いのお話です。


そのきっかけとなったのは、平成17年・代表が当時32歳だった時のこと。造園協会からの働きかけで、’宮城県造園協会 青年部’に入部することになったそう。


「造園協会は全国・都道府県別にそれぞれあるのですが、私はそれまでずっと同業の方とは深く関わらずに仕事をしてきました。入部してみると、とても知識が豊富な方から技術力に富んだ方まで在籍されていて、とても刺激的な環境でした。」


造園協会 青年部は、25歳から45歳まで同世代の造園家達が多く在籍しており、また、青年部を卒業しても上層部の’親会’に入会するため、二世代で在籍されている造園家の方たちもいらっしゃるそう。

それぞれ情報交換や全国の有名な造園家の講習会を受講できるなど、若い頃から強い人脈を作るのには最適な環境だったとのこと。


「講習会は’セットメニュー’といって、竹垣・石垣・石積み…それぞれのプロフェッショナルを全国から招聘出来るといった内容でした。私が初めて’御手洗さん’にお会いしたのも、そのセットメニューがきっかけです。」


現代の名工である‘御手洗 達雄 氏’は、自然風景を作ることを得意とされる’カリスマ造園家’でした。大分ご出身、30歳になられてから造園家のキャリアをスタートされたとの事。子供の頃は片道1時間半かけて小学校へ通うほど山奥に住まわれ、「自然の中にずっといたので、自然という手本が俺の中にずっとある。」と技術や知識だけでなく風景が頭の中にあり、造園に反映されるその才覚は全国に知れ渡ることとなりました。


「御手洗さんの講習会は1回目が平成18年10月、2回目が平成20年10月と、セットメニューとしては比較的早いスパンでのスケジュールが組まれました。全国的に人気な御手洗さんなので異例ではあるのですが、宮城県は個性的な造園家も多く御手洗さんと仲のいい人も多かったため、早々に実現できたようです。」


講習会は2日間、段取りが2日間・片付け1日を含め計5日間行われるとのこと。事前に御手洗さんから図面・指示のFAXが送られ、青年部が石の運搬や木の堀取りを行ない準備したのだそう。

「実は、私はお会いするまで失礼ながら御手洗さんを存じ上げなかったんですね…それまでは自然風景よりもお寺などのかっちりとした正統派のほうが好きだったので、講習会も他の講師の方を所望していた程でした。ですが…お会いした初日、この人には全く勝てる要素がないと思いました。技術的にも人間的にも…御手洗さんは圧倒的に大きな存在でした。」


.


自然風景を作るカリスマ造園家・御手洗さんの講習会を受講することになった代表。その技術力・人間性に圧倒されたとのこと。

「講習会では、基本的に講師の先生は手を動かすことは少ないのですが、御手洗さんは違いました。まるでグローブのような逞しい手を使って、ご自身で現場をどんどん作り上げていかれます。」


1回目の講習会は、基本的な石の配置と植栽で終えられたそう。枯山水のような流れを意識した配置と植栽かつ、山道のような池泉回遊式です。今でこそ主流なスタイルですが、当時は前衛的な配置・植栽だったそう。

「驚きはその作業スピードです。とてつもなく、考えられないほどに早い!通常の造園では先に石を配してから植栽を行う…という手順を踏むのですが、御手洗さんは庭の奥の方から石を置きながら植栽を進めて仕上げていくという独特なスタイルでした。そのような事が可能なのか?とも思うのですが、御手洗さんは幼少期山奥に住まわれていたご経験から、自然風景を体感的に会得されています。地割や配置が頭の中にあり、空間構成能力がずば抜けていたんですね。」

また、事前の指示書でもかなり大量の石を用意して「使いきれるわけがない」と思っていたところも、逆に足りなくなるくらい…講習会の参加人数は50人程度だったそうですが、全員に作業を与えられるくらい同時進行で講習を進めていかれたそう。


「正統派の庭が好きだった自分には衝撃的でした。遊び心と雑の境目は曖昧ですが、’こんな事が許されるのか’というくらい雑だったんですね…だけど作品としては最終的に帳尻が合う。」

平成20年の講習会では滝と川を作り水を流す最終仕上げといった内容でした。通常であればコンクリートで作り物の印象が強くなってしまうところを、御手洗さんはコンクリートがすべて隠れるように苔や植物・石を使い、滝の流れは勢いよく、また山砂とセメントを混ぜてコンクリートらしくない山道を作るなど、自然を模した技術が速やかに反映されていきます。


「本に書いてある事や今まで学んだことが全て覆されたのではないかというくらい…自分たちのセオリーは通用しませんでした。また、御手洗さんのテクニックで特徴的だったのは、廃材や形の良くない木なども積極的に材料として使用されるところでした。’庭師は詐欺師だ。自分の実力と技術でゴミに見えるものも価値のあるものに変えろ。’といったお言葉からは、それまで新品できれいな材料で庭を作ることが当然と考えていた私にとって、新しい価値観やモノの見方を教えてくれた…そのように思います。」


まさしく’守破離’の破…代表にとって「こんなやり方があったのか」というくらいに衝撃的な出会いだったようです。

「御手洗さんにお会いしていなければ、今の私はありません。」そんな代表が、’御手洗さんの影響を強く受けた遊び心のある庭’のお話を、次週はお送りしたいと思います。

ぜひ楽しみにお待ちいただけますと幸いです。