【代表の想い】vol.19[せんだんホスピタル石積み・植栽]


皆様こんにちは。清水園でございます。


季節の変わり目というのは、皆様体調管理に一層留意されることと存じます。どのようなお立場の方にも言えることではありますが、造園の仕事も身体資本。体力も必要な作業が多く、代表とも打ち合わせの度「ご自愛ください」と労い合うことが常でございます。


本日お話いたしますのは、代表が’健康のありがたさを実感した’という現場について。お付き合いいただけますと幸いです。


東北福祉大学の持つ病棟’せんだんホスピタル’。代表が平成14年に一度石積み・植栽を手掛けた現場を、平成18年に歩道拡張・側溝整備のため石を解体し積み直す…といった内容です。

「一度目に手掛けた時は私もまだ石積みの経験が少なかった頃で、また’大きな石が格好良い’と思っていたこともあり、大きな石かつ積み幅も少し大きくとり積んでいました。

石積みは三段積み以上にすると難易度が上がりますので、そこも加味していましたね。ですが、歩道拡張・側溝整備に伴ってU字溝が入り狭くなりましたから、同じ石は入れられません。平成18年の石積みは、小さな石を使って積んでいます。」


東北福祉大学での現場は、基本的に現場発生石で石積みを行うとのこと。

石置き場から石を運搬し現場で積みますが、代表曰く「石積みは石置き場から石をトラックに積むことからスタートする」との事。


「これは私自身が平成14年から18年の間の成長を実感した事でもあるのですが…大きな石を運び出す場合は、動かすことも大変ですので、石置き場にある石の中から積みやすい石をなるべく選りすぐり運んでいました。

ですが、小さな石になった現場では、石置き場の手前にある石から順にトラックへ積み込み、一通り現場で積んでいました。’ある石はほぼすべて積めるようになったなあ’と石積みの神様に感謝した瞬間でもあります。」


経験というのは人を確実に成長させますね…さてそんな矢先、先述した’健康のありがたさを実感した’というタイミングが代表に訪れます。


「青天の霹靂…とはまさにこの事をいうのだと思います。平成18年の3・4月頃に石積みの解体を行ったのですが、その直後に1週間程長引く風邪をひいてしまったのです。」

なんと…お労しい。それは大変なご経験でしたね。


「いえ、それが始まりだったのです…その際の血液検査で、その風邪とは関係のない厄介な病気が発覚してしまったのです。進行は早くない病気でしたので、石を積み直した後翌年の1月に入院の予約を取り、それに合わせて仕事の段取りを組んでいきました。

とはいえ工期があり心配されると困るので、黙って半年ほど入院治療しました。

しかしながら…本当に仕事が好きなので入院中は自身の存在意義が分からなくなるほど…苦痛以外の何ものでもありませんでした。

とはいえ、振り返れば’人の痛みを覚える’、’病気になる人の気持ちに寄り添うことのできる’…そんな事を得た機会だったと思います。」


代表にそんなご経験がおありだったとは…私もつゆ知らず、改めて健康のありがたさ、仕事のありがたさについて気づかせていただけました。

皆様もくれぐれもご自愛くださいませ。


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引き続き、’せんだんホスピタル’の現場のお話をさせていただきます。

現場に取り掛かる中、病気が発覚し入院を余儀なくされた代表…その後無事体調も取り戻され、今度は現場に通路と植栽帯を作るにあたっての石積みと植栽を手掛けていきます。


「平成19年12月頃から、翌年の4月頃まで取り組んだ現場です。この頃は随分元気になってきていましたね。この時の現場でポイントとなったのは、全体が緩やかで大きなカーブを描いていたこと。また最終的には全長が100mもある石積みに仕上がりました。」


確かに…緩やかに描かれたカーブの先はどんどんと繋がり…非常に長い石積みです。とはいえカーブも天端の高低差も大変美しい石積みですね。


「ありがとうございます。この頃は病み上がりではあったものの、石積みのキャリアもあり…石積みの美しさを追求する積み方で積んでいます。

また、’高さ’についてもこだわりがあり、遠近法を使用した石積みに取り組んでいます。石積み、カーブの中ほどに階段がございますが、その左手の石積みが奥へ行くに従って下がるように…また、右手も同様に奥へ行くに従って下がるように積んであります。

下げたのは15cm程度でほとんどフラットではあるものの、長く繋がるに従って傾斜がついていることがよく分かります。」


代表曰く、「カーブの高低差が一番難しい」との事。普段水糸は張らずに感覚で高さを見定める…といったスタイルだそう。

研修などで、どなたかから教わった方法なのでしょうか。


「石積みの名手だった初代から教わることができれば良かったのですが…そもそも私が入社したのも初代が亡くなった後入れ替わりでしたので、また野面積みの文献はたくさんあるのですが崩れ積みは無かったので、すべて独学でした。力学なども試行錯誤で実践してまいりました。」


陰ながらの努力の賜物だったのですね。また、今回の現場では普段の石積みと違い、石の角の丸いことが特徴的ですね。これもまたカーブ同様に積むことが難しそうです…


「そうですね、普段は石積みで丸い石を積むことはほとんどありません。と申しますのも、石は基本的に3から4点の石との接地面を保持する必要があります。

石同士をぶつけ支えないと、止まらずに転がってしまいますから…丸い石は角もなく、安定感を持たせるのには4から5点は保持しないといけません。

とはいえ、この現場はカーブですので、角のある石では丸く積むことが出来ません。丸い石だからこそ描けたカーブとも言えますね。」


なるほど…現場に適した石選び、非常に興味深いです。

「基本的に石積みに必要な石は3種類…角石・天端石・その他の石。実に単純なのです。

とはいえ、石の相性があるので…’あの石を使うとこの石が使えない’といった場面も往々にしてあります。

私の場合は’石を選ぶ’というより…’ある石を選り好みせずそのまま使っている’ということが多いです。’はまるだろうな。’という感はあるのですが、’なぜはまるのか’は私も理屈で説明する事は難しいですね。なんとなくです。」


経験から培われた感が活きるのも、石積みの面白い領域なのかもしれません。