【代表の想い】vol.24[石積み直し]


皆様こんにちは。清水園でございます。

さて、当社なのですが創業は1963年…初代から現在の代表にバトンを渡しながら、半世紀以上にわたり造園業を営んでおります。特に石積みに関しては、初代及び現代表が得意としている分野。

本日のお話は、そんな初代と現代表を繋ぐ「石積み直し」のお話です。


「東北福祉大学 国見キャンパスの石積みは、初代から手掛けていた現場です。この時は、敷地内に新しい建物が立つため通路が狭くなりリヤカーが通れなくなる…というので、通路幅を拡張するために石の積み直しを行いました。」


現場は、解体含め4日程度の工期だったそう。現場を一度何もない空の状態にしてから、同じ敷地内に元の石を山にしておき、土を削りまたそこから積み直していきます。


「中程は初代が積んだ石なのですが、私が一度ばらして積み直し繋げました。石は再利用出来るのが何よりの利点です。この現場でもばらした石をそのまま使用しています。」


仕上がりを拝見すると、通路ができるよう石積み全体を相当奥へ移動した印象があります。S字カーブだったところをほぼ真っすぐになるよう積み直しているなど、なかなか大掛かりな内容です。

とはいえ、着工前後を拝見した時に気づくのは’積み方が変わらず、ボリュームや位置が変わっただけ’…といったような印象。やはり積み方にも工夫された点があるのでしょうか。


「そうですね、積み直しの場合はいくつか気をつけなければならない点がございます。一つは、以前に積んだ人の’個性’、もう一つは積んだ際の時代背景です。石積みにはどうしても積んだ人の考えや積む際の特徴や癖が出てきます。

積み直す場合はその’個性’に倣って積む必要があるんですね。また’時代背景’というのは、石積みを行ったのが同一人物…本人だった場合、その’技術力’に倣った積み方をせねばならない、ということです。


ここが歯がゆいところではあるのですが…やはり同じ現場、私自身が手掛けた石積みを積み直す場合’今ならもっと綺麗に積むことが出来るのに’と、黒歴史をそのままに積み直す必要があるのです。また積み直した箇所・つなぎ目がいかに分からないように繋ぐかが大切になってまいります。」


なるほど…先人の積み直しを手掛けるにせよ、自身の積み直しを手掛けるにせよ、そこに倣い仕上げることが重要なのですね。


「石も再利用しますので、表面に出ている部分と土に埋まっている部分とでは色も異なります。表面に出ていた部分はなるべく表面に使うようにするなど…元あった石の特徴を汲んであげる事も必要ですね。

‘黒歴史’とは申し上げたものの、一方でこのように同じ現場で過去を振り返り自身の成長や経験を実感できることもまた、石積みの魅力であり素晴らしいことです。」


確かに、初代から現代表へ世代を超えてあり続ける’石積み’。時代に合わせて形を変えていくというのも意義深いものですね。


「石積みは、基本的にコンクリートを使わないので比較的バラしやすいものなのです。また、我々は石積みだけでなく’植栽’を行うことも多くございます。コンクリートを使うと、特性上強度は出ますがその分排水性が悪くなってしまうんですね。一方で石積みはそのメリットとして排水性の良さが挙げられます。植栽と石積みとは相性がいいのです。」


また、排水性に加えて’保温’についてもメリットを挙げる研究者もいるそうで。日中石に日が当たり、石に蓄熱がされるため夜も暖かく、樹木の根に良いという説がございます。

「コンクリートに比べると表面積も大きいので、雨が降った際に一時的に保水するなど…ただ排水性が良いので根腐れの心配もなく樹木には優しいですね。」


自然の者同士、相性がいいというのにも合点がいきます。現場のお写真を拝見していても、石積みの中に立派な松が植えられているのが印象的です。

「樹齢100年近くの松ですね。石積み直しの際、実はここにも非常に注力しました…と申しますのも、石積みを大幅に後ろへ下げた分、土もその分削っています。土が減るということは、すでにある松の’根も切らなければならない’ということ…これがなかなか手間のかかる作業なのです。」


石積みのことに関心が向いていましたが、指摘を受けてみると確かにこの松の存在感は無視できません。’根を切る’というと植物に対して大きな負担がかかりそうですが…


「そうですね。なるべく根を痛めないようにすることが大切です。土を削ると根が露出してきますので、バックホーという重機で少しずつ掘っていきます。

進むにつれて、重機のバケットで根を引っ張って痛め、根がズタズタになり再生しづらくなってしまいますので、ある程度重機で掘った後は’根切り’という刃物が付いた道具を使用してスパッと切ることで、根を守りながら切り進めていきます。」


そう、剪定でもきちんと手入れされた鋭利な刃物でないと、枝の修復が遅くなってしまいます。いつまでも治らず枯れ枝になってしまうこともあるそうです。


「通常石積みの中の植栽は細い根が多いので比較的裁断しやすいのですが…今回はかなりぎりぎりのところまで掘り進めており、太い根もありどこまで切るかのせめぎ合いが続きました。職人の目利きが求められると同時に、道路に必要な幅も確保しなければなりません。


いつの時代も、人の都合で自然はいじめられてしまいます。日頃自然のもの・植物を扱う身としては、仕事とはいえ’植物や自然を守らなければならない’という想いは、常に持ち続けていたいと感じます。」


様々な技術革新が続く中で、それでもなお人が自然・植物に対して出来ることは何なのか…現場のお話を伺いながら、自然・植物と人との関わりについて考えさせられます。