【代表の想い】vol.33[雪吊・冬囲い]


皆様こんにちは。清水園でございます。

さて、前回の仙台門松に引き続き、この時期ならではの ’雪吊・冬囲い’ についてお話をお届けして参りたいと思います。


地域によって数は異なりますが、東北六県の多くでは冬になると木の上に縄の傘をさしているような ’雪吊’ が見受けられます。


「基本的に雪吊りというのは、雪の重みで枝が折れないようにする為のものなのですが、縄でさまざま形の表現を変えることもできますので、中には装飾的な雪吊というのも存在します。

清水園のある宮城は雪が少ないので、実用的なものと装飾的なもの両方ございますが、お隣の山形県などは雪が多いので実用的なものがほとんどです。形も異なりますし、場合によっては板で囲ったり…というものもございます。」


雪の降る量によって形が変わるのですね。

「そうですね。そんな中でも ’良い雪吊’ というのは縄が真っ直ぐで頂点から枝(もしくは支えている竹)までを最短距離で吊っています。

ピンと張った縄には雪が引っかかり縄に沿って外側に雪が流れていく…きちんと本来の役割を果たすだけでなく無駄がなく美しいのです。」


そんな雪吊を作る際、まずは高さを決めるとのこと。

「柱の2/3程度が木の高さ、木の上から1/3程度柱が出ている状態が多いのですが、木の幅によっても多少異なります。また、縄の本数も幹の幅などで変わって参りますね。」


通常ですと50本前後の縄を使うとのことですが、今回お写真で拝見した13mのボンデン(雪吊)では、その大きさと合わせて124本の縄を使われたそう。

4kgの縄が16玉…縄だけで72kg、成人男性約一人分の重さというのにも驚きです。


「また、縄の上部は装飾的な要素が濃く出てまいります。’飾り’と呼ばれる箇所ですね。会社や製作される方により異なりますが、縄が上部から抜けなければ問題はないのです。作り手の特徴が出てくる場所でもありますので、私もこだわって製作しております。」


代表の場合、縄を多く束ねて半球のような形態に仕上げているのが印象的です。他の方の多くは、ワラボッチを重ねたり、髪の毛のように流れるような山を作ることが多いのだそう。12月頃〜翌年3月の約3ヶ月間、飾っていて曲がったりもげてしまったりしないよう頑丈に作ることも必要とのこと。


「飾りの下には松竹梅の飾り結びが多く見られますが、最近は雪吊を作る人が少なくなってきたので、この結び方ができる人も少なくなってきたように思います…先日は、同業の友人が私の飾り結びを見学していました。

松竹梅の飾り結びといえば、正月のもので身近に感じますが…技術の継承という面ではなかなか難しい時代なのかもしれません。」


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「最初に、枝の下に竹を結束していきます。竹で全体的に荷重を分散させ吊り上げることで、枝や木への負担を軽減させます。

その後、木の幹に沿うよう柱を立てるのですが…13mのボンデン(雪吊)は丸太も含め200kgの重さでした。かつて同じ木で土台・上部と分割したボンデンを設置したのですが、「長い柱一本だとカッコいいだろう」と1本の丸太を選び運びましたが…やはり相当な大変さでした。大人数人で木の根元まで運び、杭を打ち込み縄で結束していきます。」


その後、上から縄を投げる…との事ですが、適正な場所へ均一に投げるというのはなんとも骨が折れそうです。


「そうですね、縄は軽く風に乗って流れてしまいますので…何回も投げ直しをおこなっています。三本一組に束ねた縄を下に投げ、受け取った人がバラして仮置きしていきます。

このバラすことも重要で…縄の順番が入れ違ってしまうと縄が綾(あや)になってしまいますので、投げる方も受け取った方も正確な順番になるよう作業することが大切なのです。」


なるほど、確かに縄が綾になると美しい雪吊には仕上がりませんね。


「その後、受け取った人は仮合わせを行い、全ての縄を広げておおよその場所が分かったらピンと張っていきます。この時、枝か竹を肩に乗せ、乗せた状態でピンと結んで肩から外した状態でピンと張るようにすることがポイントです。

と申しますのも…雨や雪が一度降り濡れると縄は必ず伸びてしまいます。

ここの工程である程度テンションをかけておかないと、3ヶ月経った頃弛んでいては雪吊の意味がなくなってしまいます。とはいえ、あまり強く張りすぎても細い枝は折れてしまうこともありますから…力加減はなんとも難しいところです。」



雪吊の他にも、冬の木々には ’根巻き’ が多く見られます。もともと虫取りが目的で、冬の間保温効果のある根巻きに虫が卵を産んだところ、それを藁ごと剥がして燃やす…といったものだそう。こちらも雪吊のように様々な装飾や作り方があるそうで、木の形状によって工夫して見栄えするように仕上げていきます。


「私が例年手がけている松の木はなかなか曲者でして…末広がりな形状になっているので、縄を閉めた時縄が上にずり上がってしまうのです。ですので、普通は行いませんがこの木に関しては ’下巻き’ を行います。なるべく太いところに結ぶために、5回は巻いてなるべく下げて結んでいきます。」


どれが良くどれが駄目という決まりはないものの、だからこそ個人における美意識が強く反映される’雪吊’や’冬囲い’。木々や現場に合わせ工夫を凝らすことで、冬景色が作られているのですね。


次週も冬の風物詩 ’ソテツワラ巻き’ についてお話しして参ります。楽しみにお待ちくださいませ。


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