【代表の想い】vol.35[池工事]


皆さまこんにちは。清水園でございます。

まだまだ寒さ余るこの頃ですが、少し前、冷たい空気と朝日が心地いい道沿いを散歩していた時のこと…普段通らない道の先に、開けた公園がございました。

階段を3段ほど登った先に広がる池には落ち葉が数枚、近くに忘れられた子供用のバケツを満たした水には、うっすらと氷がはられておりました。

まだ目覚めぬ住宅街の片隅で「古池や 蛙飛び込む 水の音」…名句に思いを馳せながら、心穏やかな時間を過ごしておりました。


代表と打ち合わせの際、事前に現場のお写真を拝見してからお話を伺いますが、今回の「池工事」の完成写真を拝見した時に、ふとその心穏やかな時間を思い出すことに加え郷愁に似た想いを抱いたのが印象に残っております。


「焚き火・波の音・動かない水面…それらは人の深層心理を落ち着かせる要素だそうですよ。」と代表にご教示いただき、妙に腑に落ちました。


「街で生活をしていると、なかなか池を見る機会もありませんから…より珍しく印象に残るのかもしれませんね。私も池の製作依頼は少ないですね…30年で10ヶ所程度でしょうか。今回のように学校の敷地内でしたり、広いお家・お庭を持つ個人のお客様でないと、なかなか池を作ることはできませんからね。」


この「池工事」、平成21年に東北福祉大学からのご依頼で手掛けられたそう。北山キャンパスの敷地内、元々設置位置に水が湧いており、流したままもよろしくないねと溜池を作ることに。8×8m…およそ20坪と、とても広い面積です。


「施工時には、およそ10トンの水を近くの池から汲んで入れておりましたので…なかなか立派な池ですよね。

池を作るときには、最初に深さを決めてから機械で穴を掘り進めていきます。ここで決めた深さは、後からこれ以上深くすることは出来ませんので…何回も確認しながら掘っていきます。

掘った土の中には、細かな木の根や石が混ざっていたりしますから、最後に重ねる防水シートに穴が空くのを防ぐために先に防護マットを敷き、その上から防水シートを重ねています。」


先程お話に出てきた10トンの水、これは防水シートを張った後に一度入れ二日程様子を見るのだそう。


「この防水シートも、ここまでの大きさになりますと4枚は繋がなければなりません。ボンドで繋ぎますが、接着面も気をつけなければ…接着が甘いと、ここから水漏れしてしまうこともありますからね。

また、防水シートは4〜5mm程度の厚みがあるものの、少しでも傷がついて穴が空いてしまえば水は漏れ出てしまいます。ですので、一度水を仮に入れてその減る量を確認します。水漏れしている場合は、蒸発以上に減っていますから…また水を抜いてどこから漏れているのかを点検・補修しなければなりません。」


確かに、手間のかかる工程とはいえ肝心要の作業ですね…

「池の作り方は大きく分けて3種類あるのですが、先にコンクリートを打設してから施行する方法が最も水漏れしません。ですが、制約も多く金額も嵩みます。

防水シートは比較的形が自由に作れますが、今回のように念入りな作業が必要ですね。水が漏れても問題ない場合は、粘土の土をこねてはたくだけ…という方法もございます。池と川がつながっているなど、特殊な条件ではありますが。」


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「防水シートを張り水を入れて、おかげさまで特に水漏れもありませんでした。大変ではありますが一度10トンの水を抜いて、今度は石を置いていきます。」


池に配置する石は、代表曰く通常の石積みとは異なる置き方なのだそう。

確かに…日頃代表の積んだ石積みの写真を多く拝見していると、揃え方や使う石の種類などが「池の仕様」といった印象です。


「池の石積みに関しては’護岸’と申しまして、高さや幅を揃えずにランダムに置いていきます。池ですので一直線というわけにはいきません…’こんな池ってあるよね’という石の置き方は、揃えすぎず揃わなさすぎず…’池のイメージ’に合わせて石を置いていくことがポイントになって参ります。」


‘池のイメージ’…と伺って、先日の公園の池の様子や、思わず郷愁の念に駆られた事を思い出しました。恐らく我々も潜在的に認識しているであろう’池のイメージ’…これは、具体的にどういったものなのでしょうか。


「そうですね、まず水の流れのお話から致しましょうか…水は最初に、山などから湧水として流れ出て、川となり滝となります。どんどんと下に流れて、先に窪地があればそこが最終的に池になります。池は一番下にできるのです。

なので、池の周りにある石というのも台風などで山から転がり、そのままぶつかって止まったもの。そこまで転がってきた石ですから、当然尖った石はなくほとんど角が取れています。ですので、庭に池を作る上であまり尖った石を使ってしまうと風景に’雑味’が出てしまいます。

角の取れた石を選びながら、’まるで自然にそこにぶつかって止まったかのように’置く事が大切ですね。」


また、防水シートを使用する上でも尖った石を使うと水漏れの可能性が出てくるため使わない…といった事情も。


「ただし、滝と組み合わせて池を作る場合は尖った石を使うこともございます。水の発生している渓流のところですから、石の角も取れていませんので。

上流と下流を作る際は、上から下にかけて尖った石から丸い石へと推移させること…また、下流に頭が向くように石を止めるのもポイントですね。


庭の広さは有限ですから…自然の風景の切り取り・ダイジェストを表現するのが我々の仕事です。わざとらしく作らず、’そこに池があった’と誰もが思うような自然さ…そういう理想的な景色があるから、そこに家を建てたんだと思われるくらいのものを作りたいですね。」


滝も作り、川も作り、池、そして周りの景色に至るまで…改めて造園業は一つの世界を作り上げる仕事なのだなとしみじみ感心致します。土木工事のみとはまた全く違う情緒があるからこそ、完成した写真から郷愁を感じ取ったのかもしれません。


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