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【代表の想い】vol.62[倉庫新築 材料]


皆様こんにちは。清水園でございます。

さて、本年の締め括りのコラムと相成りましたが、弊社にとってやはり本年最も衝撃的かつ印象的だった出来事といたしましては、弊社作業場兼倉庫の火災でございました。


3月以降折に触れ復興の様子を皆様にお伝えして参りましたが、今回のコラムでは代表が倉庫の新築を決意したある材料との出会いのお話をお届けして参りたいと存じます。


「火災はあまりにも唐突で、そしてあまりにも潔く全てが燃え尽きてしまいました…私としては今ある仕事とお客様への対応で悲しみに暮れる間も無く日々邁進しておりましたが、なんだかんだと多少は落ち込んでいたというのも正直なところでございます。


以前お話しした通り倉庫はいずれ改装の計画はあったものの、やはり落ち込んだ思考の中では「プレハブのように簡易な倉庫でも良いのかもしれない…。」といった後ろ向きに想いがよぎる瞬間もございました。

しかしながら…これもやはり運命なのかもしれません。火災があった一週間後に、林業を営む友人と電話で仕事の話をしていた際「何か良い材木がないか」と聞いたのが全ての始まりでした。」


筆者もいつものように、お打ち合わせの為材木にまつわる資料・お写真を事前に拝見したのですが…なるほど、代表が‘運命’と感じるのも納得の見事なケヤキの丸太がそこにはございました。

引きで撮影しても写真の画角には収まりきらない程の巨大なケヤキ…林業を営むご友人曰く、築120年の古民家を解体した際に出た材木との事で、見立てでは200〜300年…江戸時代生まれのケヤキであろうとの事でした。また、以前から使いたかった太い材木…ケヤキとヒノキ数本も譲ってもらうことになりました。



「7m60cm・7m20cm、直径40cm、重さ約700kgのケヤキとスギが3本に加え、5m少々あるケヤキが2本ございました。このクラスの材木はそうそうお目にかかれるかどうか…中古ですから、人によっては汚かったり見窄らしいと感じる方もおられるかもしれません。ですが、これらは間違いなく‘本物’であると感じました。

仕事柄木を扱う立場として、木を殺すも生かすもこちらに委ねられることは多くございます。この木だって、割って薪にして使うこともできたかもしれません。ですが、新たな倉庫で材木として利用することで、この木に新たな役割…命を与えることだってできるのです。」


代表曰く「使える・使えないの判断はこちらの覚悟と大工の判断」…友人の倉庫を後にし事務所に戻ってから新しい倉庫の図面を一気に書き上げ、次の日には早々に大工さんへファックスを送っていたとの事でした。


「短く切ることなくこの材木をそのまま使いたい…という想いが強く、建物でもそのまま使うことが出来るよう図面をひきました。そこからは、現在の建築法に基づいて実現可能な方法へとすり合わせるのに時間を要しましたが…なんとか材料として使うことの出来る段階まで漕ぎ着ける事ができた次第です。」


火災から約半年後の9月…トラックの荷台に収まりきらない程の巨大なケヤキとスギの丸太達は、無事清水園へと納品されたのでした。



「元々材木が使用されていた古民家はいわゆる茅葺き屋根で火を焚く環境だった為、材木も納品された当初は煤けて泥もつき汚れている状態でした。ここからは、材料として使用出来る状態にする為、高圧洗浄機で洗ったり表面を削っていったり…という作業を行って参ります。」


代表直々に、丸一日かけて高圧洗浄機で木々を洗っていったそう。やはり築120年の古民家を支えてきただけあり、洗浄後の水は茶色く濁った状態が続いたようです。


「また、ケヤキ自体は大変硬い木なので虫に喰われるということはほとんどないのですが…やはり経年と煤で煤けたことで表面の柔らかくなった部分があり、虫に喰われるなど洗浄中に細かい破片が飛ぶといったこともございました。」


高圧洗浄を終えた段階でも煤や埃が取れ、随分とすっきりとした印象にはなりましたが、さらにここから粗皮を削っていく…という工程に入ります。


「手斧(ちょうな)と呼ばれる、宮大工の方が使われる道具で木の表面を削って参ります。今ですと手斧ではなく電気カンナで削る事が主流なのですが、電気カンナの場合は表面を均一に平らに削る事に長けているものの、今回のように曲がった材木には適していません。


実際、手斧を手に入れるのにもインターネットオークションでようやく見つけたほどで、今これらを扱える職人さんは少なくなってしまいました。曲がった材料ではなく、均一な材料に。専門的な技術がなくても、誰でも扱えるように。木を一つとっても平らにするための道具は色々とあるのですが、曲がっているものを曲がっているなりに仕上げることのできる美しさが、昔の道具の良さならではだと感じます。


また、手斧を我々が日頃の仕事で使用することはほとんどありませんから…弊社の社員達も一時間削るのにとても体力を使っていたようでした。最終的には私が仕上げましたが…丸二日かけて削りましたので筋肉痛も大変なものでした。」


そんな努力の甲斐もあり、削り終えた後の材木は見違えるほどの仕上がりです。ここからは、大工さんにお渡しし組み立てられるよう加工を施してくださります。


「弊社に来てくれている大工さんは50年来お世話になっている方ですので、その腕は心から信頼しております。彼がいなければ今回のような私のこだわりは、とてもじゃないですけれど形には出来なかったと思います。

またの機会に詳しくお話ししたいと思うのですが、今回は合板やコンパネは使用したくなかったので、無垢の木だけで仕上げられるよう、大工さんにも細部には相当な技術を使っていただきました。

先程の材木に加え東北福祉大学からも材木をご提供いただくなど、現在は車庫に車が停められない程材木で溢れております…基礎工事も進んでまいりましたので、建前を控えて日々待ち遠しい限りです。」


妥協を一切せず‘今の時代でも立派なものが出来る’という復興の象徴・清水園にふさわしい倉庫を建てる…そんな代表の意気込みが伝わって参ります。


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