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【代表の想い】vol.66[第2回庭園わざと仕事オンラインセミナー]


皆様こんにちは。清水園でございます。

様々な面談・お打ち合わせの多くがオンラインで行われることも日常化して参りましたが、本日お伝えして参りますのは、先日代表が参加した「第2回庭園わざと仕事オンラインセミナー」についてでございます。


「こちらのセミナーは日本造園組合連合会が主催するもので、やはり近年対面での講座開催が難しくなったという事もあり、昨年の11月にオンラインで一般の方にも開かれたものです。登壇されたのは造園連相談役でもあり京都を代表する造園家の井上剛宏氏で、実は第1回にも登壇されていました。


その際2時間程のセミナーだったのですが、‘どうして庭を作るようになったのか’といった造園家になられた経緯から手掛けられた庭園の構想についてまでをご紹介されるといった内容でした。


今回は、(もちろんこの回単独でも学びの多い内容なのですが)前回の内容をより詳細にご紹介いただく…といったセミナーでございました。」


井上氏は造園に携わる方なら全員が知っているであろうという程に著名な方。逸話の一例としましては、井上氏35歳当時、九州・本山のお寺に遊びに行ったつもりが実は庭づくりの依頼だったとの事で…それはまさに‘山の造成’の如く4〜5年かけ数億円規模で作庭を手掛けられたご経験をお持ちだそう。


代表曰く「この人の話を聞いていると、浮世離れしているのでは…と思ってしまうほどスケールの大きなお話を伺える」との事…大変興味深い限りです。


「今回のセミナーで井上氏がお話しされたのは、井上氏が独立して初めて手掛けられたお庭についてでした。賞を受賞されたほどの作品ですが、当時は賛否両論のお庭だったそうで…」


お写真を拝見すると、暗く仕切られた窓の向こう側に美しい緑が広がる印象的なお庭です。どうやら、この暗いアスファルト部分は駐車場だそうで、建物自体は山の法面の下の方に位置し、駐車場の向こう側が借景となりお庭になっているとの事。


今でこそこのように建物と庭の境界線の無いデザインのお庭は人気ですが、井上氏がこの庭を手掛けられたのは今から30〜40年前…「土がない所にも庭が作れる」とそれまでの庭の既成概念を壊した第一人者でもあったそうなのです。


「このお仕事がきっかけとなり、京都の梅小路公園の周年記念の庭も手掛けられたそうです。また、井上氏は非常にお話し上手・言葉選びの巧みな方で…スライドに登場する文言や記述の一つ一つも、‘上手いな’と感心しておりました。


例えば、先ほどの現場紹介の締めくくりで出てきた文言…‘想像から創造へ・設計から設景へ’と記されていたのですが、まさに我々造園家の仕事というのは、頭の中に思い描いたイメージを現実の形に起こすこと、そして、ただ図面を引くのではなくて一つの印象的な景色・景観を作り上げること。そのような内容を端的に表現されていました。」


次いでスライドに登場したイベント時に作成されたお庭も、「苔だけでも庭ができる」と言わんばかりの苔貼りの山脈が印象的な作品。山の窪みは作っただけで陰影が生まれ、景色が生じています。こちらが本物の庭ですと管理はしづらいかもしれませんが、井上氏の哲学が端的に表現された作品です。


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「3件目にご紹介いただいたお庭は、奥行きがあり広さを感じるお庭のように見えるのですが…実際は、非常に狭いお庭だったとの事でした。お写真と共にスライドには、‘技術…庭師の技術とは、全体を構成する技・物事を巧みの行う技・技巧/技芸’と書かれており、まさにと思わせる内容の現場です。


こちらのお庭、井上氏が手掛けられる際‘なぜここに灯籠を置かなければいけないのか’という疑問からスタートされたそう。日本庭園は物の配置にセオリーが多く変えられない部分…いわゆる制約が多い中で、狭さを感じさせない・全体にまとまりを感じさせる、そのような仕上がりにする為に様々な工夫を凝らされたそうです。」


着工前・完成後のお写真を比較すると、その違いは一目瞭然です。着工前は灯篭の存在感が際立ち、視界がそこに止まるが故に無機質な印象さえ与えかねないお庭ですが…井上氏の手が加わることにより、豊かな植栽で一気に情緒溢れる景観に変貌を遂げています。


「ご指摘の通り、着工前はアイポイントがどうしても灯籠に向かってしまうが為に、奥行きを欠いた印象になってしまっていましたが…クロチク・シダ・ツバキ・カンツバキ・シラカシ・アセビ…様々な種類の植栽が加わることで、アイポイントが上手く分散され庭全体を主役にすることに成功しています。

井上氏曰く‘山にしてしまえ’と、これらの植栽を施されたそうですが、結果的にとても広く感じる庭に仕上げられています。」


そう、様々なアイディアがある中でもそれらを‘現実の庭にまとめられるか・まとめられないか’は造園家の‘技術’。また、スライドには次いで‘技能…職人の技とは、細部を構成する技・技芸を行う腕前’と続きます。


「これは造園に深く携わる方はお分かりいただけるかと思うのですが…井上氏がご自身の言葉でも分類されているように、造園の世界で‘技術’と‘技能’は異なるものです。技術は仕事の上で個々の一つ一つを指してそう呼びます。

一方で、それを組み合わせ現場に応じて臨機応変に対応する能力を含めたものを‘技能’と捉えます。これには現場での経験値と柔軟な思考が要になってくるようにも感じます。」


セミナーの最後に、井上氏は‘庭の手入れ’と題したスライドに造園に関する哲学を綴ります。


「内容としては、私はじめどの親方に話を聞いてもそれぞれの言葉で同じ話をされるのではないかな…と感じます。例えば‘庭の手入れは、管理ではない…剪定でもない…景を創る作業である。’と締めくくられた箇所は、強く頷きます。


庭の管理は、庭をどう創るかの仕上げ作業なのですよね。植栽にせよ、剪定にせよ、樹木の状態を見極めその状態に合わせながらも5年後10年後を見据えて枝を切り、樹形を作り、更新していく。庭を作って終わりではなく、良い庭を作って育て残していくことが我々にとって大事な仕事なのです。


近年はどうしても、‘早くやれ・安くやれ’と若い人達は求められてしまうのかもしれませんが…ぜひそういった方達にも聞いてもらいたい内容だったなと感じております。」


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