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【代表の想い】vol.68[法面滝石積み3期工事]



皆様こんにちは。清水園でございます。

先日、当コラムでもご紹介致しました「法面石積み・植栽2期工事」でございますが、お話の中で‘次回濾過槽の移動’といった3期の工事について少しばかり触れておりました。


弊社代表が10年計画で実施している‘敷地の全面改修’。今回お伝えして参りますのは「法面滝石積み3期工事」でございます。


「あまり声を大にして申し上げることでもないのですが…やはり私は立場上日々業務に忙殺されているといっても過言ではございません。

そんな折、‘自分の家の庭に旅館の庭を作ろう’と思ったことが、この10年計画のそもそもの発端でした。旅館の離れといえば…滝と石積みがお約束だとは思うのですけれども、私もそれに倣って20年ほど前に一度、庭に滝を作ってはいたのです。」


その当時、滝の石積みを手掛けたのは代表ではなく、清水園先代のお弟子さんだったそう。その為代表も要望を伝えるのも憚られた思いがおありだったようで、作ってもらったものの気に入っておらず…いつかは、いつかは、と構想を練り続けていたそうなのです。


「前回2期工事でお話ししていた濾過槽につきましても配置を変えたいと思っておりましたので、併せて一新することに致しました。法面だったところも全て石積みにしたおかげで、コンクリートだった部分も荘厳な印象に仕上がっています。日頃石積みを行っているおかげで、こういった場面で難なく石積みが出来るというのは…造園家としての利点かもしれませんね。」


滝は2系統・5段落ちの滝に仕上げておられます。通常の滝は階段のように落ちるものがほとんどですが、代表の滝石積みでは迂回ルート・本線の二つで構成されています。石積みの天端の向こう側に川があり、川の流れの延長上で滝になった…そのようなイメージで石積みを施されたそうです。


「着工前、池の上に3mの鉄板を4枚重ねて敷いて25トンラフター(幅6mクレーン)のアウトリガーが乗せられる準備を行いました。以前は建物越しに石を動かしていたクレーンですね。今回は滝の石積みが出来るように…その代わり、会社内に他の車が一切入れなくなってしまうのはご愛嬌です。」


工事の大掛かりさは、例年ご近所さんの間でも噂になる程お墨付きのようです。


「例の先代のお弟子さんが積んでくださった石積みは、申し訳なくも一度バラバラに解体致します。解体して分かったのですが、大きな石の下に小さな石を入れるような構成で積んでおられたようです。確かに、小さな石は物理的に扱いやすいのですが…石の配置としては決して綺麗なものではありません。


これを拝見して感じたのは、初代が常に率先して石積みを手掛けていた為に…お弟子さんは長い間隣で仕事をしていたにも関わらず、石積みに関しては技術が伸び損なってしまったのだな…ということです。

何につけても、技術の継承や人を育てるには何事も経験させなければ(また、本人が意識的に学び実践しなければ)技術は途絶えてしまうし、人は育たないということです。


当時は特に、インターネットもなければ書籍も限られたものしか出回っていませんでしたから…今とは違って、滝石の組み方や石の置き方一つ覚えるのにも、現場以外ではなかなか難しかったということも相まっているかと存じます。」


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「石積みの解体は、前年に石積みしたところ以外は全て解体する事と致しました。当初は一部を残すことも考えたのですが…少しでもあるとそれが制約になりかねないとも思い、思い切って更地にしゼロからのスタートです。

石積みは当然のことながら土台の部分は大きくなければなりませんので、水がどのように流れるか想像をしながら…上から下への力に耐えられるように石を組んで参ります。」


水を扱う為、水漏れ対策も抜かりなく行います。代表曰く「滝に使用するのは湧水なので、万が一漏れた水はシートの上に集まり池に戻るようになっている」いわゆる底面集水型だったそうで、防水シートとマットを敷き、石の重量で防水シートに穴が開かないように石を置いていく…といった比較的ベターで神経を尖らせなくても済む防水対策だったそうです。


「昨年同様、全てラフターで石を積み上げていきます。滝を作るために集めておいた良い石もこの機会に積んで参りますが…やはり頭石が乗った際には相当な迫力で、良い仕上がりになりましたね。」


頭石は3トンもの重量。その他にも、滝の流れる先にはV字の溝がある水落ち石や、絶妙な窪みのある石など…「この滝に使われる為にこの日を待っていたのではないか」と思われる石の数々が、良い塩梅とバランスで積まれて参ります。


「また、石積みばかりでも圧迫感が出てしまいますので…同時に植栽を施しながら全体のバランスを見て作業を進めて参ります。

モミジ(ヤマモミジ・イロハモミジ・ノムラモミジ)の他、シラカシ・ロウバイ・クヌギ、以前から生えていたウメなどを植栽しました。特に、石の際にさりげなく植えたモミジはこだわってこの苗木にしております。

大きな木が植らないから苗木にした、というのではなく ‘そこで育った・生えた木’という仕上がりを想定し、育てていくことができるからです。」


この石積みの段階では植栽も育つ前ではございますが、実はこちら以前当コラムでもご紹介した「春期剪定」の際ご紹介したお庭だったのです。約5年後の状態をご紹介しましたが、枝葉も豊かになりまるで山中・森の中にいるような立派な木々へと成長して参ります。


「また、このお庭を手掛ける際にやはり御手洗さんの存在は非常に大きかったように思います。そもそも御手洗さんの影響を受け、いつかは作ろうと思っていた滝でしたが…仕上がるとやはり御手洗さんの創られた滝とは全く違うものに仕上がるものです。

御手洗さんが手掛けられたとしたら、もっと大胆な滝に仕上がっていたでしょうし…また昔の自分であってもそのようにしていたと思います。


ですが、滝を作るまでの20年間…考えに考え抜いて‘この庭に似合う滝とは’と制作したのが、今回の滝石積みでした。自分を押し留めた、という点では成長したのかもしれません。憧れは憧れとして、やはり作った人の色になるのが庭の面白いところです。私はここで、庭ではなく景色を作ったのだと自負しております。」


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