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【代表の想い】vol.72[民家の伐採]


皆様こんにちは。清水園でございます。

これまで当コラムでは、弊社の手掛ける様々な現場のお話についてお伝えして参りましたが、先日代表とのお打ち合わせの中で「そういえば…」とこれまでにお話ししてこなかった内容があった事に気づきました。‘伐採’…造園家であれば誰もが手がけたことのある、木を倒すお仕事です。


「‘伐採って、切ればいいだけでしょ?’と思われがちなのですが…これは意外に難しい業務内容なのです。」詳しく伺って参りたいと思います。


「実は、なかなかスポットは当たらないものの…怪我が多いのも死亡事故や物損事故が多いのも伐採なのです。

一つは、木に登り伐採の最中にチェーンソーが身体に接触し切ってしまう。

二つ目に、自身の安全帯を木と共に切断してしまい落下してしまう。

三つ目に、木を途中まで切ったもののその後安全帯が繋がったままで、切断した木の部分が倒れた際身体ごと持って行かれてしまう。

最後に、倒れてきた木の下敷きになってしまう。この、自損・落下・挟まり…といった事故が代表的なもので、特に経験が浅いまま無理をして怪我をしたり亡くなってしまう若い方が多くいらっしゃいます。」


まさか、そんなにも命と隣り合わせの作業だったとは…目から鱗とはこのことでございます。


「そう、伐採は慎重になりすぎなくらい慎重に取り組まなければ事故につながってしまいます。‘いけるだろう・できるだろう’と軽く考えた時に怪我を伴います。いかに安心・安全を確保するか…伐採の鉄則です。」


伐採は山中で木を切り倒すこともあれば、案件によっては民家で行うことも多くあるそうで。代表曰く「山で行うにも大変ですが、民家は民家で違う問題が出てくるのです。」との事。


「山と違い、民家の場合文字通りご自宅の敷地内に伐採が必要なサイズの木が植わっているわけなので…‘モノを壊すリスク’というのは必ずといっていいほど発生致します。今回例に挙げたお宅の場合は、お庭に生えていたネムノキが大きくなり過ぎてしまい、リビングの日当たりを妨げてしまうということもあって伐採したケースでございます。」


ネムノキをはじめ…シュロノキ・ネズミモチ・モミジといった木々は、人の手で植えるのではなく‘勝手に生えてくる’種の木だそう。ネムノキは特に成長の早いのが特徴で、施主様のお宅のシンボルツリーとして20年来元気に育っていたそうです。


「とはいえ、流石に施主様も手に負えなくなってしまい切りましょう…というお話に至った次第です。全長約10m、建物の二階建てよりも高さのある状態でした。」


山中での伐採においては30m程の長さの木を切り倒すこともあるそうなのですが、真横にご自宅がある状況下でのネムノキ10mの伐採は、素人が耳にしても驚きを隠せないスケールです。


「そうですね、また剪定とは違い近隣の電線・建物などにもぶつからないよう配慮しなければなりませんので…なかなかの緊張感です。今回のネムノキは張り出して電線にもかかっていたので尚の事ですね。」


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「着工前・完了のお写真、2枚だけを並べると…まるで根本から一度に切ったように思われるかもしれませんが、そうではございません。実際、この幹の部分の長さ60cm程度でおよそ70〜80kgの重量がございますから…それらが上から落ちてくることを考えると、60kgだったとしても1m上から落とせば600kgの加重になります。

それが壁にぶつかれば間違いなく壊れてしまいますから、決してぶつけることは許されません。木の上に登り、チェーンソーとロープ・チルホールなどを使用して細かく切っては倒す…という作業を繰り返して参ります。」


チェーンソーは原付バイクのエンジンよりも大きい為、木に登って使用するには相当重たく感じられるのだそう…かなりの力仕事です。


「最初は枝を切り落とし、木そのものを棒状になるよう仕上げていきます。枝は地面に落としても影響はございませんから、手際よく作業を進めて参ります。」


枝を落とし終えた後はいよいよ上から幹を切る作業。ここで注意しなければならないのは、木の多くは真っ直ぐではなく、倒れる方向が建物に向いている…ということ。建物に向かって倒れないように、ロープで落とす方向へ引っ張りながら‘9割チェーンソーで切る・ロープで引っ張り落とす’という作業を行います。


「木には予め2本のロープをかけておきます。1本は、木を引っ張る為のもの。2本目は、落下した幹が下に落ちないようにぶら下がるようにしておく為のものです。建物とは正反対の方向に引っ張って、ぶら下げてから落とします。万が一ロープよりも力が必要な場合は、チルホールに変え引っ張ることもございますね。


なぜわざわざぶら下げてから落とす必要があるかと申しますと…例え木を細かく切ったとしても、普通に倒してしまうとコンクリートまでもが割れてしまったり、地面に穴が空いてしまう恐れがあるからです。ですので、既に倒れて積んである木々をクッションにして、その上に重なるよう・積むように切って参ります。」


このロープの掛け方というのも、一筋縄では行かないそうで…


「当然のことながら、伐採する木によって全く条件が異なります。‘本当にこの掛け方で良いのか・間違いないか’という事を、毎回確認しながらロープを掛けて伐採致します。また、実はチェーンソーで切ることもそうですが、最後に引っ張る作業というのも非常に重要なのです。

最初に申し上げた通り、チェーンソーで切り過ぎて安全帯ごと身体が持って行かれる…という事故もございますから、9割切った後は現場を離れて‘せーの’で決めた方向に向かって引っ張る必要があるのです。伐採は、その場にいる全員が流れを把握・共有し、チームワーク・連携があってこそはじめて成立するのです。」


伐採の緊張感とその危険性を知ると、‘ただ切ればいい’作業とは思えなくなります。また、大きな木を切れるようになるまでも、小さな木100本を確実に切れるようになる事が大事だそう…何よりも着実な進歩と技術力が求められる業務だということが、改めて理解できたように感じます。


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