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【代表の想い】vol.78[第35回福井青年部全国大会]


皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お話しして参りますのは「第35回福井青年部全国大会」。全国から造園家の皆様が一堂に福井県へ集結致します。


「飛行機に乗って小松空港へ到着した後、小松駅すぐの場所にある‘こまつの杜’を訪れました。こちらは産業機械メーカーの大手・コマツの運営する施設で、敷地内に世界最大級の大型ダンプトラック・930Eがございます。重機は我々の日々の業務に欠かすことの出来ないものの一つですが、297トン載積可能なダンプはなかなかお目にかかれません…普段はアメリカ・中国・オーストラリアといった海外の鉱山で石炭を運ぶ為に使われているそうです。」


全高7.3mものダンプトラック…圧巻です。タイヤ自体は機能制限で止まっているそうですが、ダンプが上下するなどの見学イベントも催されているとの事。


「続いて、福井県あらわ市に移動し全国大会総会に参加致しました。総会の後の基調講演の講師として登壇されたのは、映画監督の田中光俊氏。この年は田中氏の代表作『利休にたずねよ』の公開翌年で、講演会では‘映画の中の、美しさ、日本らしさ’といった演題でお話を進行されました。映画と造園…異なる領域ではございますが、田中氏曰く「映画の作り方と庭の作り方は通じるところがあるかもしれない、通じるところがあれば参考にしてほしい。」との事でした。」


確かに‘ものづくり’という領域・観点から見れば、造園以外のジャンルからも非常に学びが多そうです。


「‘良い結果は準備次第’と表示されたスライドでは、映画…作品を作られる上で準備が大変だったり時間がかかるといった前置きの後、時代背景のリサーチやその反映についてお話を展開されました。田中氏は‘画面の外’も大事にされていて、例えば…映画を作っている最中は、その時代の食材・作り方で作られた食事だけを食べるようにしているとの事。映画に映るキャストのみならず、映らないキャストの器にも同じものを入れるそうです。ここではスタッフとの情報共有をはじめ、抜かりなく行うことで映画の世界観がより密度の高いものになるとの事でした。」


一つの作品を作るにあたり、リサーチから実践まで徹底されているのですね…感服致します。


「‘本気なら言葉に出して言いましょう’…有言実行を大事にされているお言葉もございました。口から出た言葉が適当なのか、感情を込めて言ったのか…で、結果がそこについてくるとの事。夢物語と言われようと、本気なら宣言して行動する。覚悟もそれに出てくるのでしょうね。


また、裏千家第三代・宗達の茶室‘今日庵(こんにちあん)’についてもお話しされました。通常は四畳半の茶室から更に無駄を削いだ二畳半の茶室…ある茶会開きの日、宗達の外出中にお茶の先生が入れ違いでいらっしゃったそうで、軒先に「懈怠比丘不期明日(怠け者の私は、明日の約束はできません)」と殴り書きが残されていた…という逸話がございます。何が起こるか分からないこの世の中で明日の約束を取り付けようとした事、‘今日という日を疎かにしていた’…と自戒を込めて‘今日庵’と名付けたそうです。この志は、現代を生きる我々にも通じる重要な教えのように感じます。」


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映画監督・田中光俊氏の講演会では、引き続き様々なトピックスで内容が展開したようです。


「‘職業が天職になっているか’…これはなかなか耳の痛い方も多いのではないでしょうか。田中氏曰く、‘働き’という目標が決まるとそれが職業になるとの事。それを楽しんだ時に‘天職’になる…と。職業は自分の為ではなく天からの贈り物で、自身のやっている事が世間にどのような影響を与えているか考えなければならない、と持論を展開されました。」

人生の大半を占めるのは働く時間…その内容がどうあるかを考え実行する事は、多様な働き方が認められる現代において非常に重要なことかもしれません。


「‘雨を喜ぶ’…このシンプルな言葉も含蓄に富んでいるなと感じます。我々は雨が降った時、つい‘嫌だな’なんて思いがちです。ですが、雨は作物にとってはかけがえのない恵み…雨を嫌うのは人間の勝手に過ぎません。自然のことを受け入れその時に自分がどうするべきかを考える事が重要で、あくまでも‘自然の中で生かされている・自然の一部である自分自身’を忘れずに在る…という事の大切さをお話しされていました。」

田中氏は映画の撮影で自然な雨のシーンが欲しい時もあるとの事で、尚のこと‘雨を喜ぶ’という言葉に説得力がございます。


「‘理屈抜きにまず動いてみる’…やらないで誰かの結果を見て判断するのではなく、まずは自ら実践してみる。やらないと結果はついてこない、と言った事もお話しされました。田中氏ご自身、映画もたくさん失敗されたとの事で…それを挫折ととるのではなく、次の成功の為の失敗だと捉えて制作を続けてこられたそうです。」

経験の積み重ねの中でようやく培われるものもございますものね…その人により‘成功’‘失敗’はそれぞれであるものの、やはり高みを目指し邁進し続けるというのは重要です。


「‘一期一会’…この言葉は多くの方が心の隅に留めているのではないでしょうか。一度きりしかないかもしれない人との出会いの中で、掴めるチャンスがあるかもしれない。様々なご縁と可能性が、人との出会いと過ごす時間には溢れています。‘心の底から聴く’…これもまた多忙な日々では忘れがちな事かもしれません。人の話を適当に聴いていないか…適当でいると、言葉の端々に潜む大切な言葉を取りこぼしてしまうかもしれません。改めて振り返り真摯に傾聴するというのは非常に大事な事ですね。」


1時間半の講演会の中で、映画監督という側面だけでなく人としての田中氏の‘生き方’が垣間見えたように感じます。他ジャンルとはいえ、その哲学・世界観から学べる事は多くございますね。


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さて、「第35回福井青年部全国大会」1日目に映画監督・田中光俊氏の講演会を拝聴した翌日、代表は福井県を中心に名所を巡られたとの事。


「当時全国部長の高野さんがバスを借りてくださり、青森県・宮城県から参加していたメンバー16名でバスツアーを行いました。最初に訪れたのは道元禅師開祖の永平寺。この日は真夏のように非常に暑い日だったのですが、お寺の周辺や敷地内はその荘厳な空気でひんやりとしているように感じた程です。


120畳近くある間はまさに圧巻で、途中に柱も入れていないので…相当立派な梁が入れられている事が想像できます。ここで座禅や教えを説いて頂くと思うと、背筋が伸びますね。お庭も素晴らしく、岩肌から流れる滝も見ものでした。やはり滝は作ったものと自然のものとでは全く異なりますね…なかなか一枚岩で滝は作れるものではありません、思わず見惚れてしまった程です。」


いかに自然の状態を再現するか…造園の業界では様々な方法が模索・実践される中で、やはりこういった‘自然’を実際に目にし体感する事はとても重要な事ですね。


「その後、一条谷朝倉氏遺跡を訪れました。こちらは300年近く田んぼに埋まっていたところ、庭として残っていたものを発掘・調査されたという貴重な遺跡です。発掘から20年近く経っていますが、造園の雑誌『庭』にも2〜3回掲載される程…歴史的にも貴重な場所です。池は当時コンクリートもございませんから、粘土を突き固めて作ったものだと思われます。雨が降らないと池も干上がってしまいますから、雨が降って初めて池のある状態を見る事が叶います。また、お庭には4m30cm程の立派な立石もございました。おそらく15〜20トンはあるかと…それを重機もない当時、引っ張ってきて庭に立てるという凄さは想像を絶します。」


映画やドラマでも有名な東尋坊をはじめ、改修を終えたばかりの金沢駅などその他にも様々な場所を訪れたそうです。


「金沢城公園では、そこにしかない石積みを拝見出来たのが貴重な経験となりました…と申しますのも、石積みの中では‘タブー’と言われている‘短冊積み’での石積みだったからです。本来石積みは縦荷重を分散して行うのですが…この短冊積みは上からの荷重のみですので脆かったり、目地が通っていますので上の石の重みでしたの石が割れたりはらんだりする危険性が高く‘遊び心はあるけれども非常に危険な石積み’なのです。


ですが、この積み方のために全て石をノミで叩いている事を考えると…今日まで崩れず残っているので相当手の込んだ石積みだともいえます。色味も様々混ぜていて目に楽しいですし、昔の方というのはなんとスケールの大きな遊びをするのか…と感心してしまいました。最後に、三代庭園の一つである兼六園も訪れました。切石一枚とっても相当大きく、華やかな印象のお庭です。


意匠は自然を模したものが多いですが、飛石が鳥のガンが飛ぶ姿を模したものであるなど、ストーリーや設定があるのも魅力的です。ちょっとした石の置き方や仕様、細かなところはどのような場所でも気になるもの…飛び石の収め方・景石・川の流れ方は非常に参考になります。」


代表曰く、様々な庭を見ると自身の引き出しが増える・風景を蓄積しておくと様々なアイディアを思いつきやすくなる…との事。旅先での意識のストックが、日頃の仕事に活きてくるそうです。


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