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【代表の想い】vol.20[ケヤキ植栽]


皆様こんにちは。清水園でございます。

日々暑い日が続く中で庭木を見る度「喉が渇いた」と訴えかけてくるように感じ、水やりにも精が出るこの頃でございます。


我々人間のように言葉は発しないものの、やはり草木花も生き物。本日お話いたしますのは、代表にとっても思い出深い「ケヤキ植栽」のお話でございます。


「以前お話した、ウェルコム北側石積み・北側西側植栽を終えた後に手掛けた植栽です。東北福祉大学の当時の総務局長から「シンボルとなる木を植えたい」とのご依頼があり、ケヤキの木を植えることになったのですが…」


毎度、お話を伺う際に当時の現場写真を拝見しながらメモを取るのですが、代表の言葉が詰まったタイミングで写真を見た時、こちらまで息が止まりそうになりました…トレーラーから大きく飛び出たケヤキ、巻かれた根の太さだけでも人間の身長をはるかに超えているのですから。


「こんなに大きな木の植栽は後にも先にもない…と思うほどに大きな木でした。もともとは福島県の中島村というところで生育されていたケヤキで、現場で見た際は周りにも大木が植えてあったためそこまで大きくは見えませんでした。

ですが、相撲部屋で力士を見るような具合でしょうか…やはり単独で移動させるとそのスケールには圧倒されましたね。」

ケヤキの全長およそ25m。荷台が18mトレーラーで運んだとのことですが、それでも8mははみ出てしまう大きさです。


「道路の幅が3m50cmでしたので、根も3m50cmに巻いて持ってきました。途中建造物などにぶつかってはいけませんので、道中マンションの街灯を外すなどして移動させたほどです。当時はなんとか運ぶことが出来ましたが、現在の交通事情等では運べるのかどうか…」


また、現場の敷地内にはトレーラーが入ることができず、一度クレーンで持ち上げ10トントラックへ積み替えて運んだのだそう。

「10トントラックからも大幅にはみ出て、前進できずにバックでの移動で運び終えました。荷降ろした後ケヤキの周囲に肥料も置いてありますが、肥料だけでもトラック1台をいっぱいにして運んできています。」


これほどのスケールの樹木…日頃生活を営む中で、町中で見かけた際は’誰かが植えた’事へ思考が向くことはほとんどございませんが、改めて現場のお写真を拝見すると、町中の木々を見る目が変わりそうです。


「同じ敷地内には、すでに20mある株立のケヤキが植えてありますが…それを凌ぐ大きさでした。ご覧いただいて分かる通り、2mの樹木を植栽するのと、20m以上の樹木を植栽するのとではその労力は天と地の差があります。」


コラムはFacebookページへアップした後ホームページへと掲載しているのですが「スケールが大きすぎて他の植栽のお話がぼやけませんかね…」と代表が懸念しておられたのも頷けます。(ご心配なく。)


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「ここまで大きな樹木ですと、移動のために根や枝も巻いて絞って持ってきます。持ってくることももちろん大変ではあるのですが、実は持ってきた後がまた大変なのです。

と申しますのも…はじめに枝の結束を解いていくのですが、かなりのボリュームの枝を箒のように絞って運んでいますから、紐を切った後の反動がとても強いのです。


例えば、ハサミでロープを切った際に、枝が肋(あばら)に当たって骨折してしまったり、身体が跳ね飛ばされてしまったり…ということもあるようです。

私は木の中に入ってロープを切るようにしているので、これまでのところ無事でしたが…とにかく分からずに作業すると危険な作業であるということは否めませんね。」


結束を解くのにも命がけとは…驚きを隠せません。枝の下、幹にも何か巻かれているようなものがございますが、これは木を傷つけないようにするためのものでしょうか。


「これは’幹巻き’と言って、いわゆる日除けの役割を果たしています。木の水分の40%が幹に入っているのですが、直射日光が幹に当たると中に流れている水分が熱くなり皮がひび割れてしまうことがございます。

もともと生えている木は根も太いですし水を大量に地面から吸うので問題ないのですが、移植用の木となると話は別です。

移植のためにある程度剪定してから運びますので、水分量も少なく日に当たると熱くなってしまうんですね。それを避けるために、日除けである幹巻きを行うわけです。」


実際に植栽されたのは真夏ではないものの、この頃は日差しが燦々と降り注ぐ木々を目にすることも増えておりますので、なかなか他人事のようには感じられません…。



「さて、木が寝ているところから起こして植えていくのですが、実はこの起こす…’立てる’という作業がまた一苦労。と申しますのも、帯掛けを枝の根元で行いクレーンで持ち上げるのですが、大きな木は自重が重いため立てる時に皮がめくれてしまうことがあるのです。

当然ながら、皮がめくれてしまえば枯れる恐れがあるので絶対に失敗は許されません。帯掛けの当たる部分に緩衝材となる板を巻いたりするなど、細心の注意を払って木を立てていきます。」


25mもの木となれば、重さも相当なもの。それを吊るための道具も重さに耐えうるものを使用しなければならないため、道具を揃えるのにもなかなかな費用がかかるとの事でした。


1日がかりでまっすぐに立てられたとのケヤキは、そんな苦労の甲斐あり非常に美しくシンボリックな存在感を放っています。


「こういった現場を経験すると、見聞きしたことよりも経験したことというのは重みが違うなと実感致します。おそらく誰しもがこのような大きな木を動かすことを’やりたくない’と思ってしまうことが実際だと思います。

ですが、’こういう大きな木を動かす機会を与えてもらった、それを実行できた’という経験をさせていただけたことは、本当にかけがえのないことだったと感じます。」


挑戦するか、しないか。ストレスとプレッシャーを原動力に変え、経験が人を作っていくということを改めて実感させられます。


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