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【代表の想い】vol.83[仙台門松しめ縄]


皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お送りして参りますのは、弊社が数年前から手掛けております‘仙台門松’…こちらに欠かすことのできない「しめ縄」の製作についてでございます。


「例年、仙台門松は11月上旬に土台を作り始め、12月10日を過ぎた頃にしめ縄を手がけ始めます。土台を作り出すと資材で車庫が大変散らかってしまいますので…一つずつ、作業の段取りをつけて片付けながら行って参ります。」


弊社の新しい倉庫ができる前、仙台門松の製作はシャッターも無い車庫で行っておりました。半屋外の12月は非常に寒く、作業も大変だったとの事…新しい倉庫では、年末にはまだ扉にガラスは入っていなかったものの、屋内で作業できるという安心感はかけがえのない物です。今回の製作は、新入社員と共に手がけた作業の一つでもあります。


「しめ縄は、私をはじめ社員3人と共に製作いたしました。藁自体は弊社が田んぼを所持しておりますので、稲刈りで出た際の藁を使用しております。社員はこれまで練習で何度かしめ縄を作っておりますが、まだまだ本番には使うわけにはいきません。太いしめ縄となるとなかなか一苦労…やはり技術とたゆまぬ努力が必要な作業です。」


しめ縄は、一番最初に‘ケンダイ’と呼ばれる部分の中心から作って参ります。と申しますのも…ここで使用する藁は、真っ直ぐで綺麗な藁でないと使用することが出来ません。藁選びを慎重に…真っ直ぐな物の中からさらに真っ直ぐな物を選んで参ります。


「この作業を進めていくと、良いもの・悪いものとで…良いものはほとんど取れず、大体半分程度まで減ってしまいます。選び抜かれた藁は、人差し指と親指とで円を作り、握り固めて約1本分として使用致します。それを2本用意し、縄を編んでいる間に折れたり曲がったりしないようにラップで巻いて養生しておきます。」


ここで‘悪いもの’として振り分けられてしまった藁も処分するわけではなく、叩いて縄の部分として使用致します。縄は編み出すと途中で藁が足りなくなってしまうと厄介…ですので、予め藁を選び叩いておくのだそうです。この作業でも1〜2日はかかるとのこと。


縄の部分は左側から編み進め、左が仕上がった後右側も編み上げて行きます。縄を編む際は、30本程度の藁一掴みをばらけないように挿して捻りながら編み進めて参ります。


「中心が太く、端に行くほど細くなるように仕上げて参ります。一番太い部分などは、集中力と捻って抑える力・いかに藁を足すかの判断力が必要な作業です。左側は先に編むので問題ないのですが、その後右側を編む際には左側の太さ・長さを確認しながら似たように仕上げなくてはなりませんので、大変です。1本編むのにおよそ1人で3〜4時間ほどかかりますね。」


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仙台門松の仕上げに欠かすことの出来ない「しめ縄」の製作。藁を選び・叩き・編み上げ…縄の部分を完成させます。弊社の場合は、8mの縄と4mの縄を計5本編んで参ります。…なかなか骨の折れる作業です。


「この作業は人によって異なるのですが…私の場合は藁の仕事を行う際には手袋は着用せず、素手で行います。と申しますのも…手袋をはめていると藁が手袋に引っかかってしまい、スムーズに作業出来なくなりますし、また縄を握った時の太さで左右どのように違うか感じながら編み進めて参りますので…手の感覚が全てなのです。爪の間に藁が刺さって痛いですし、皮も薄くなるので難儀ではあるのですが…これは私なりにこだわっている点の一つですね。」


確かに、太いしめ縄だからこそ繊細な手の感覚が必要となってくるのかもしれません。また、代表曰く「やり直しすると汚くなるので、行わない。」との事。全ての縄を一発勝負で仕上げていきます。この緊張感もまたしめ縄の完成度に繋がっていそうです。


「縄が編み上がった後はさらに捻り、その後革手袋で縄の表面を磨いていきます。この革手袋は藁を磨く為に使うもので、摩擦熱で縄の癖づけを行って参ります。また、この作業で表面に出ている細かな藁は切れて磨かれ、さらに縄に艶が出てきます。擦りきれず表面に出ている藁は、最後にハサミで切って整えます。」


作業中のお写真を拝見する限り、代表はじめ社員一丸となって黙々と作業されている様子が伝わって参ります…無事、仕上げを終えた後はケンダイにお供物を取り付けるとの事。


「お供物は炭・白粉・昆布・干し柿…この4つを和紙に包んで、しめ縄の中心に水引きで和紙に結んで参ります。これら4つをまとめるとなると、小ぶりながらも量がございますので…お供物が‘脱走’してしまわないように上手くまとめる必要がございます。」


代表曰く「特に干し柿のヘタが‘脱走’しがち…」との事。ユーモラスながらもなかなか気の抜けない場面です。


「この水引きの作業、他に仙台門松を制作されている皆さんは現地で行われる方がほとんどです。ですが、12月は風が強く寒いですし、また近年ありがたいことに知名度が上がりテレビ取材なども入るようになりましたから…弊社では落ち着いて確実にまとめられるように、社内で行ってから持参するようにしております。」


現地でしめ縄は繊維状の麻で取り付けられ、朱入れをし完成との事。この仙台門松のしめ縄製作ですが、一から行っているのは清水園と丸森の二人だけとの事…他の皆さんは購入し仕入れて門松を組み立てておられるそうで、また正式な作り方を行っているのも清水園のみ。

「今後、統一した方が良いのでは…」という声も上がっているそうで、伝統技術の継承にも課題が残ります。



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