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【代表の想い】vol.32[仙台門松材料揃え製作]


皆様こんにちは。清水園でございます。

いよいよ年の瀬、こちらのコラムも今年最後の更新となりました。昨年末からスタートしたコラムも早いものであっという間の一年でございました…。


さて、今年第一回目にコラムにてご紹介しました昨年度の「仙台門松」でございますが、代表は今年度も手がけるとのことでこの時期休まず制作に勤しんでおります。

前回お送りした仙台門松のお話では、主に仙台門松がどのようなものなのか…というご紹介に終始致しましたので、今回はその制作過程をお送りしたいと存じます。


「鳥居のような様相、二本の心柱に松と笹竹を取り付け高さは約5m。二本の心柱は’ケンダイ’と呼ばれるしめ飾りで繋がれ、心柱の根本には’鬼打木’という割り木が添えられるのが’仙台門松’です。庭においても同じですが、基本的に仙台門松は皆さん完成したものをご覧になることがほとんどかと思います。実は、一対の土台を製作するのに20〜25時間かかっているのです…」


日中は通常業務、終わってからまさに夜なべでの門松製作なのですね…そもそも使用する材料を集めてくることも大変そうです。



「まさに、一番問題なのは門松を作る技術云々以上に、門松の材料を集めることなのです。現代の生活をしていると集まらない材料がほとんど…一つずつご紹介していきましょう。


まず初めに、鬼打木に使用するコナラという木を伐採します。最終的には薪にして、約18枚を円形になるよう繋いで土台にしていきます。目に見える大切な箇所ですので、木に傷がついてしまうと使うことができません。伐採する時にも注意が必要で…クレーンで吊りながら、切り終えた時コナラが倒れないようにチェーンソーで切っていきます。通路がある場所でないと吊り切りできませんので、限られたエリアでの伐採となります。」


伐採時の写真は今年3月のものだそう。基本的に木の伐採は冬に行うとのこと。木の中の水分量が少なく乾燥しやすい、葉が落ち軽くなっている、虫のいる可能性が少なく腐りにくい…など伐採には最適です。とはいえ、12月に使用するものを3月から仕込んでいるという事実にも驚きを隠せません…。


「材料は自然のものですから、やはり人間が自然のサイクルに合わせる必要はございますね。コナラの直径は15〜20cm、長さが約20m。鬼打木にするためにはまっすぐな薪である必要があるので、枝の無いところや傷の無いところしか使うことが出来ません。他は薪ストーブの薪として使いますが…。

そう、実はこの伐採したコナラ、今年の冬に皮を剥いで乾かしておいたのですが…なんと虫に喰われて使用できなくなってしまったのです。多分虫の卵が入っていたのでしょう。…これは流石に痛手でした。」


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さて、仙台門松製作につきまして…代表は今年度、仙台市かまぼこの老舗 ’鐘崎’ 、’仙台うみの杜水族館’に加え、’東北福祉大学’ ‘仙台駅東口 高惣木工ビル’…計4箇所を手掛けます。


そんな中、土台となる鬼打木を作る為3月から仕込んでいたコナラが、虫に喰われてしまい使えなくなってしまい…急遽林業屋さんからコナラを購入する事となりました。


「写真に写っている右側だけでも全部で10トンはあります。機械の爪で掴んで動かしますから、表面にどうしても傷がついてしまいますが…この度は背に腹は変えられません。使える部分だけ切り出しましたが、山盛りあったこの丸太の中で取れた皮は120枚。一対の土台を作るのに約40枚必要ですから…一対半分ですね。」


これだけの量の木からも、使うことのできるのはごく一部…木は高圧洗浄機で洗ってから、吸水作業と乾燥作業をそれぞれ2日間ずつ行います。

「木は最終的にナタで削って組み合わせていくのですが、吸水・乾燥を行うことによって、虫に喰われている木を判別することが出来ます。虫に喰われているとナタで叩き削っていくと皮と幹が外れたり粉が出てきたりするので、使えるかどうかそこで分かります。」


それら厳選された木々を隙間ができないようナタで削り組み合わせ、土台が完成するそう。一対製作するのに20〜25時間かかるというのにも納得です。


「他にも、細くて真っ直ぐな栗の木を切って柱にしたり、藁からしめ縄を作ったり…という、現代では普通に生活していると揃わない材料が多く必要になります。

例えば、栗の木も松もコナラも成長すれば太くなり、太すぎると仙台門松の材料として使うことは出来ません。

手入れされた里山・山でこそ採取できますが、それはかつて人々が里山・山と共に生活があったからです。

藁もまた、田んぼで稲を植えて米をとった後の残り物。私の場合は自身の田んぼを持っておりますので、5月に田植えをしてそこから藁を取っています。」


稲はその中心に茎があり周りに葉があるので、その葉を軍手で撫でて藁にしていくそう。多いときは機械で行うとのことで、機械の周りには本体の3倍以上のゴミが出ています。


「仕上げに、藁を叩いて柔らかくししめ縄にしていきます。この叩く作業もコツコツと行いますが…その際右腕はパンパンになってしまいますね。

材料の収集から製作に至るまで大変なことの連続ですが…それを’やる’と決めたのは自分自身、弱音は吐いていられません。毎年自分との戦い…と思いながら、仙台門松を製作しております。」


代表の努力の結晶ですね。皆様、お近くへお越しの際はぜひ、仙台門松をご覧にお立ち寄り頂けますと幸いです。


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