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【代表の想い】vol.41[弊社作業場兼倉庫で発生した火災について]


皆様こんにちは。清水園でございます。


本日は、2022年3月21日に発生しました弊社作業場兼倉庫の火災についてお話しして参りたいと思います。筆者がこの事を知ったのは、代表から届いた一通のメール。そこにはいつもと変わらない、落ち着いた様子の代表のメッセージにて火災の件が綴られておりました。


あまりに突然かつ衝撃的な内容に驚きを隠せないまま、インターネットで検索をかけるとすぐに、清水園の巨大な倉庫をすっぽりと覆ってしまう程の炎が轟々と立ち上る様子が映像で散見されました。

実は火災の起こった後数日間、弊社ホームページのアクセス数が急激に伸びておりました…それだけ全国の皆様にとっても驚きの内容だった事とお察し致します。


代表から「全国の皆様をお騒がせしてしまったので…弊社からお知らせとしてなるべく早くコラムを掲載したいと思っております。」との事で、この度の火災の経緯や今後の事などをお伝え致します。


火災の概要としましては、21日10時半頃、清水園の敷地内にございます作業場兼倉庫・一棟が全焼致しました。怪我人など負傷者は出ておらず、また事件性のない火災でございました。


代表からのメールには「会社の存続には何も問題ないのでご安心ください」とのご配慮があったものの、筆者としては代表の心労が何よりも心配であったことは事実です。過去お話を伺う中で、代表は「仕事道具」に対する高い意識と倉庫の整理整頓は仕事人として徹底している事を真摯にお話しくださいました。

お打ち合わせ当日、どのような顔で代表と会えばいいのか…私自身は後ろめたい事など何もないのですが、こういった状況下における人との向き合い方について考える時間がございました。


定刻通りお打合せはスタートし、代表はメールの文面同様、いつもと変わらぬ様子でお話を進めてくださりました。

「まず初めに…今回の火災の要点をお話ししておきましょうか。一点目に、火災は火の気がない所からなんの前触れも無く突然発生したという事。二点目に、喪失体験によるショックはさほど受けていないという事。そして最後に…あまり気にしてはいない、という事です。」

代表が真実を語っている事は、その表情や声色からも分かりました。「この方はもう未来に向けて進んでいる」のだ、と。


「本日お話しするのは、既に起こってしまった事、あくまでも報告を兼ねた過去のお話です。お伝えした通り、全く落ち込んではおりませんが…会社としての説明責任があるかと思い、お話しさせていただきますね。

正直申し上げると、火災の規模としては私が消防団に所属して以来、残念ながら最大の火災でした。800坪ある敷地内に、自宅と事務所や作業場、そして今回燃えてしまった倉庫・車庫が点在して建っているのですが…そのうちの倉庫・車庫が綺麗さっぱり燃えてしまったのですから。車は5台燃え、3台は全焼です。約一時間で全てが燃え尽くされました。」



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「3月21日は三連休の最終日…春分の日で、家族も全員自宅におりました。その日は天気も良く、家族みんなでお墓参りでも行こうか…と話している最中に、近所の方がベルも鳴らさずに玄関まで来て「守屋さん家が火事だよ!119番はもう連絡したからさ!」と血相を変えて知らせてくれたのです。」


代表曰く、倉庫には火の気のあるようなものは何もなかったとのこと。勿論、仕事上必要な油(ガソリン・機械油・混合油など)はあるものの、格納している機械は必ず油を抜いているのだそう。また、常日頃整理整頓は徹底されている為、コンセントに埃などあるはずもなく。

「とはいえ、燃える時は突然燃えるのだな…と思った次第です。勝手口にある消火器2本と事務所の1本で消そうとしたのですが、無理でした。また事務所から車の鍵を持ち一台は車庫から移動させたものの、最終的には写真の通り…ほぼ全てのものが燃え尽きてしまいました。」


倉庫は一部鉄骨ではあったものの、基本的に木造での設計で燃えやすい建物だったとのこと。被害状況のお写真を見ても、その状況がいかに深刻なものであったかが見受けられます。

道具が整然と並んでいた三段の棚は完全に落下し、どんな枝木も伐採出来る逞しいチェーンソーや機械類は鉄部分だけ残してあとは溶けて跡形もありません。それぞれの役割を担う機械たちも元の面影は無く、鉄の梯子や燃えにくい素材のものは唯一形を残していますが…被害状況のお写真を前に、やはり言葉を失ってしまいます。


「丈夫な鉄骨さえも曲がってしまうくらいの熱だったようです。被害後にひとまず鉄と木を仕分け、道具のコレクション達も分かる限りでまとめてみました。工具セットも使えなくなってしまったので…今は買い直して自宅に宅急便が届く毎日です。


正直なところ、お金を出しても買い直せるものは諦めがつきます。買い直せばまた同じものが買えますし、一気に新しくなると思えばいっそ清々しいものです。一方で…お金では買い直せないものもやはりございます。


今回、倉庫が焼失してしまった事自体はさほどショックではないのですが、初代から受け継いだハサミ…この燃えた後の姿を見た時は、流石に胸が痛みました。これらも道具ではありますが、唯一無二の魂がこもったハサミたちです。

私が清水園の3代目たる象徴としてのハサミです。

現在、それらは修理に出しております…刈り込みバサミ3本(初代から受け継いだもの2本・代表の普段使い1本)、手バサミ3本(初代から受け継いだもの1本・前社長のもの1本・初代からプレゼントしてもらったもの1本)、会社や私の歴史として残しておくべきハサミです。


現役のように使える可能性は低いですが…新しい倉庫が完成しましたら、額縁に入れて飾ろうと思っております。」


新しい倉庫…そう、筆者が驚いたのは火災の規模そのものは勿論ですが、代表の精神の逞しさとその後の素早い対応・振る舞いでありました。



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冒頭にお伝えした通り、代表はこの衝撃的な出来事の数日後、いつもと変わらぬ様子で火災の事実と「会社の存続には何も問題ない」事を筆者に伝えてくださりました。


「燃えてしまったものには辛いと言っても過去の事…事実でしかありませんから、受け止めるしか他ございません。人生においてピンチは何回かやって参りますが、その時の人としての所作が人の目に映るものです。

たとえ辛い目にあっても、泣き言を言えばその振る舞いが後世ずっと語り継がれてしまいます。また、見苦しいところを人に見せるわけにいかない立場であることも、重々自負しております。」


現場は次の日より解体し、火災が発生した4日後には解体終了、その翌週には基礎解体も全て終えられ、4月4日の入社式では新入社員から「どこが火事になったのでしょうか」と、傷跡ひとつ感じさせない状態に仕上げられたとのこと。


「何より、ありがたいことにお客様と仕事自体のつながりはございますので…実際に次の日からは仕事を再開しておりました。火災があって道具が無いから仕事はできません、というのは私にとって言い訳でしかありません。

火災はこちらの都合。お客様とのお約束やスケジュールを止めるわけにはいきませんから、同業者から道具を寄付や貸し出してもらいトラックをリースするなどして、火災から3日後には従業員も現場に出てもらい、業務自体も再開しておりました。」


倉庫は燃え尽きるも、当然のことながら代表の志が燃え尽きるはずはなく…逆境でこそ当人の生き様が見えるのだなと、お話を伺いながら背筋の伸びる筆者がおりました。

自身が同じ立場になった時、ここまで冷静かつ迅速に物事を進行させられるか…改めて代表の仕事に対する想いと造園家としての誇りを見たように感じます。


「解体を終え、広々とした敷地を前に新しい倉庫の事を考えておりました。実は、解体当初基礎を一部保存の予定でしたが、思い切って全部解体し表面の土を1m程搬出し砕石とで全て入れ替えましたので…全くのゼロ地点、ここからいかようにも新たな倉庫を創造することが出来るのです。


そんな時、新しい倉庫に使えるような良い材木がないか友人に相談したところ…先日、古民家を解体したとの事でうってつけの木があると教えてくれたのです。

材木置き場でその木を見た瞬間に鳥肌が立ちました…10mのケヤキの梁と数本の長い松の丸太梁です。とんでもない長さ…これを切って山から下ろすのにも、また材木置き場まで運んでくるのにも、大変な長さです。

ちょうど曲がった鉄骨の梁と同じくらいの長さ。これは俺のためにここにあった、使うしかない…と、帰ってきてから図面を一気に書き上げた程です。

最近は火災の件も気にならなくなったくらい…以前よりかなり立派な新しい倉庫と車庫、一気に建てることが楽しみで仕方ありません。新しいスタートがとても嬉しく楽しい毎日です。」


突然かつ衝撃的な出来事からの、運命的な材木との出会い…清水園のリスタートは、大変楽しみなものになりそうです。また、今後も経過をお伝えできればと思います。


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