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【代表の想い】vol.75[薪]


皆様こんにちは。清水園でございます。

本日お伝えして参りますのは、弊社が取り組む「障がい者支援」と関連する「薪」についてのお話し。環境への配慮なども含め、代表からお話を伺いたいと存じます。


「造園の仕事というのは、どうしても植物の枝葉など細かなゴミが出てしまいます。弊社の規模ですと、年間150トン程。地球の規模から考えれば…総数の数%に満たないことは重々承知とはいえ、やはり兼ねてから枝を薪にしたりチップにするなどしてゴミの減量・削減を行っていきたいと考えておりました。

また、私の自宅改装を機に薪ストーブを4年前に入れることを決めておりまして、その事も含めて弊社では5年前から薪割り・乾燥させていた次第です。会社としては、以前からある程度の薪製作・ストックは行っておりました。」


2トントラックが70〜80台分の枝というのも想像すると相当な量…確かに、もしこれらを薪にすることで総量を減らせるのだとすれば、地球環境へも微力ながら貢献が出来そうです。


「薪は、自身で使用するものや親戚・友人・知人へお渡しするものを中心に作っておりました。とはいえ、仕事の合間に行いますから…薪を割り出すと(工程は後ほど詳細にご紹介しますが)現場作業が出来なくなるのですね。

そんな中、障がい者支援で協力している就労⽀援B 型ʻ杜の⼯房ʼから「冬の間は利用者さんが取り組める仕事がなかなか無い。」と相談を受けた事もあり、「薪を割ってみますか?」とご提案した次第です。双方同意の下、晴れて今年の冬から杜の工房利用者さんによる薪割りがスタートしたのです。」


そう、春から秋にかけては草取りや落ち葉拾い・庭掃除など利用者さんのお仕事は日々あるものの…冬の時期取り組めるお仕事というのはなかなか無いそうで。


「我々は薪を割る時薪割り機を使用するのですが、細い剪定枝などは手間の割に薪が出ませんから…こちらとしても対応を考えていた最中でした。利用者さんには怪我をさせるわけにいきませんので、全て手作業で切る・割る事で薪にして頂いております。ゴミを削減するという観点からも、細い薪を作るというのは理にかなっていたという訳です。」


切る・割る作業は、それぞれノコギリ及び油圧式(ジャッキ式)の手割りの道具を使用します。また、薪割りの良いところは障がいが軽度の方から対人関係が苦手な方…どのような立場の方でも取り組めるという点。綺麗に薪を割ることが出来れば、それが‘成功体験’となって利用者さんのやりがいに繋がります。


「細い枝とはいえ、溜めていると結構な量になります…写真でもお分かり頂けるように、建物の壁一面を覆い尽くすのに十分な程。コツコツと作業に取り組むのが好きな方は、一人でノコギリを使って一生懸命切っておられますし、あまり力が強く無いという方も、一人は枝を抑えてもう一人は枝を切る…といったように共同作業で切っておられます。


薪の長さは一本40cm前後の長さで切っていただくようお願いしています。と申しますのも…一般のお家に多く見られる薪ストーブには約50cmの薪が入るよう設計されております。それよりも大きい・小さいなど違いはあるものの、40cm程度の薪が一番扱いやすいのです。また、ノコギリで切った後使用する薪割り機に関しても最長40cmの枝が入りますので、作業効率を考えてこのサイズにしております。」


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「ノコギリで枝を切った後は、いよいよ薪割り機で割って参ります。油圧式(ジャッキ式)の薪割り機には2本のシャフトがあり、ストロークが長いもの(薪にジャッキの頭を近づける役割)・短いもの(薪を割る役割)、それぞれを役割分担して使用し薪を割って参ります。」


二人がかりでシャフトを操作する場合もあれば、薪が太い場合は薪割り機が動かないように足で押さえておく人も必要との事。

皆さんそれぞれ自分自身で出来る作業を考えながら取り組まれている様子が伝わって参ります。


「ご覧いただいたように、40cm程度の薪はこのような工程で割って参ります。とはいえ、もちろん全ての薪が40cm綺麗に切れるわけではありません…杜の工房職員の方にも、薪割りの失敗物をどのようにすればいいかご相談を受けました。


薪というのはいきなり火がつくわけではなく、火を付ける際ダンボールか着火剤で火をつけ次第に火を大きくしてからようやく太い薪をくべて参りますから…いわゆる‘焚き付け’に必要な細かな木というのも火付には必須です。

ですので、細かな枝や40cmに満たない枝などは「焚き付け用に細かく割って欲しい。」とお伝えした次第です。」


こういった焚き付け用の木に関しては、片手で使う斧や鉈などで割ることが多いそうなのですが…そこもやはり利用者さんのご状況を加味し、‘キンドリングクラッカー’と呼ばれる道具に薪を固定しハンマーを使って割る…という方法で、焚き付けの木を細かく割って頂いているそうです。


焚き付け用の木は最終的に袋詰めし、15kg程度の重さになるようまとめておきます。


「割って頂いた薪は薪棚に積んでいって頂いたのですが…今年一冬で割った分だけで棚も一杯になりました。軽トラックで換算すると12台分程でしょうか。当初は10台分くらい出来れば上出来…と思っていたのですが、元々の枝の量もございましたから量産出来た次第です。」


例年、SDGsはじめ地球環境保護への意識が高まっている事もあり、薪ストーブの需要も増加傾向にあるそうです。その一方で…定期的・継続的に薪を供給している場所はまだまだ少ないとの事。


と申しますのも…薪を作るのには薪を乾燥させることも含め1〜2年かかります。さらに、その薪を保管・管理する為の土地・敷地面積が必要になってくる事もあるからです。


「‘木を燃やす’という側面だけ見ると、乾燥させて薪にして燃やすのも生のままゴミ処理場で燃やすのも、結果的には‘燃やす’ので違いないように思えるのですが…水分を含んだ木を燃やすというのは、乾いた木を燃やす以上にエネルギーも必要で地球には負荷がかかります。


薪ストーブで薪を燃やし暖をとることは一手間二手間かかりますが…それだからこそ得られる温かさと豊かさがあるように感じます。弊社としては今後、引き続き障がい者支援も含めて薪を定期供給できる仕組みを作りたいと考えております。ご賛同いただける方は是非薪の使用をご検討いただけますと幸いです。」


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