【代表の想い】vol.38[竹割り]


皆さまこんにちは。清水園でございます。

これまで当コラムでは、ハサミ・ハンマー・ドライバー・ペンチ…といった、造園業で使用する道具について幾度かご紹介してまいりました。


その多くは造園業の仕事で必須のものが殆どで、代表からお話を伺いながらそのこだわりがひしひしと伝わってくるものばかり…本日ご紹介します道具は、造園の仕事の中でも「竹割り」に使用するものとの事。


「そもそも竹割りというのは、太いものだと竹垣でしたり、細いものになれば竹ザルなど、割った竹を組んだり編んだり出来るよう加工する為の技法です。造園技能士一級の試験でも出題される、造園家にとっては基本となる技術の一つですね。


私自身も必要な道具は揃えておりますが、特に竹割りを重点的に特訓し出したのは…昨年東京にて参加した’おもてなしの庭研修会’で臥龍(がりゅう)垣を手掛けたことがきっかけになりました。太い竹を64枚に割り、組み直していくというなんとも根気の必要な作業でしたが…やはり出来ることを増やしていきたいという想いから一年間かけて練習を繰り返しました。」


代表曰く、竹割りはあくまでも「材料を作る段階・影の作業」との事。「これが出来て初めてスタートに立てるのです」と。


「社員を指導するために一緒に竹割りを行うことも多いです。と申しますのも…また、以前お話しした仙台門松を制作後、関係者の方々と反省会を行なっていた中での事です。これからの時代、生活様式も変わって参りましたので仙台門松に使う材料の調達が非常に難しくなってきているのが事実です、と。

藁にしてもそうですが、竹にしても簡便で丈夫な代替品が増えてきました。


それに伴って、竹細工を行う若い人も少なくなり…竹割りも基本的な技術ではあるものの、やはり指導する人間がいないことには途絶えてしまう技術です。その懸念もあり…弊社では技術指導を徹底している次第です。」



確かに、新しい文化や時代の流れの中で、伝統的な技術を継承するにはやはり指導が要ですね…また、そういった技法に使用する道具たちも、やはり渋みと申しますか…日頃目にする日用品には無い侘び寂びを感じます。


「竹割りと一口に言えど、それに使用する刃物・道具の種類も様々です。私は主に5種類の竹割り鉈と他菊割りを使用しています。人により使いやすい・使いにくいといった使用感が異なりますので、これが全て必需品…というわけではありませんが、順にご紹介していきましょう。」


お写真を拝見すると、確かにそれぞれ形の異なる刃物が並んでいます。

使用する道具や手順などについて詳細をお尋ねしようと思います。


「今回は、竹を5等分しそこから更に8等分、40枚割りに仕上げていきたいと思います。奇数に竹を鉈で割るというのは難しいですから、最初に竹の先頭に’菊割り・5枚割り’を押し当てて竹を割っていきます。

3〜4m程度ですと、写真のように竹を寝かせて一人でも出来るのですが…竹が5〜6m以上になってくると重力で歪んでしまいますので、必ず反対側をもう一人に持ってもらって割り進めていきます。また、一節から二節毎に180度回転させながら割り進めることもポイントです。」


割った竹の節を取る際には、200mmの鉈を使用されるとの事。240mmと200mmの使い分けについてお尋ねしたところ、「240mmは太い竹を割り入れる際に使い、よほどのことでなければ200mmを使う」といったように使い分けられるそうです。


「鉈は、あくまで最初の導入部に使うだけで…半分割りの場合はあとは手で割っていくというところもございます。長い方がテコの原理で力を入れやすいですね。しかしながら…竹割りを行なっている時の刃物の使い方は何よりも危険です。

節取りに関しては刃先が体の外側に向いているのでいいのですが…竹割りの縦割り初め、竹が厚かったり硬かったりすると、力の勢いに任せて鉈が抜けてしまい、手に刺さってしまうことがあるのです。講習会でも、初心者にはストップがかかるほどの危なさです…。」



確かに、お写真を見ていても緊張感が伝わって参ります…。そんな中でも、竹の太さが均一になるように少しずつ割り進めていきます。


「口輪で割り進めていくと刃が手に当たらないのでまだ安全ですが、流石に節の部分はそれだと竹がねじれて上手く割れませんので、力加減や経験値が必要です。割り進めた竹は、バラバラにはせず先元の部分だけ割らずに繋いでおきます。

割る前に番号を振って、また元の円形に戻る必要があるからです。隣同士角度が違いますから…順番を間違えないように注意が必要です。」


皮を剥ぐ場合は、9cmの竹割り鉈を使って竹の皮を剥いでいきます。


「実はこの短な鉈が一番危険なのです…この時には竹も2mm程度の太さですからとても曲がりやすい分、鉈も指に刺さりやすいのです。

まさに血と涙の結晶…血は随分流しました。

そんな危険さからか、‘竹割り鉈は研ぐな’と言われることもございます。

以前、ザル職人の方に作り方を見せていただいたのですが…どんなに錆びた鉈でも見事に竹を薄くされていきます。弘法筆を選ばず、とはまさにこの事だなと。


竹割り自体は、基本ではありますが熟達することで出来ることの幅が広がります。

そういう技術は本番が来た時では遅く、本番がくる前にその技術を身につけておく必要があると私は考えます。今回の竹割りも、練習ですが準備でもあるのです。

普段から出来るようにしておかないと…当然のことながら本番では出来ません。‘自分で作ったんだ・自分の作品なんだ’と胸を張って言えるように、こういった技術を日々磨いております。」


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