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【代表の想い】vol.87[庭づくり]


皆様こんにちは、清水園でございます。

さて、清水園では日々皆様の生活に寄り添う「庭づくり」を心がけているのですが、何より代表にとって造園…庭づくりへの想いというのは、清水園の基盤となっているといっても過言ではございません。


本日は、そんな代表の考える「庭づくり」についてお伝えしてまいりたいと存じます。


「私は造園家になる以前、大工になりたいとその道を志していた経緯がございます。人の暮らしを支える‘家づくり’というのは、生活を通してその人の人生を豊かにするものだと感じておりました。


様々なご縁から造園の仕事を生業にするようになってからは‘庭づくり’が主となったわけなのですが、やはり人の暮らしを支えるという点においては‘家づくり’と通じるものがあるのかもしれません。ですが、私が今一番大事だと考えるのは‘家と庭との調和’。私がよく使う言葉に‘家庭’という言葉があるのですが、家庭とはまさに家と庭のバランス…豊かな心身と暮らしと共にある調和のことを示しております。」


代表のおっしゃる‘バランス’…これは代表が街を見る中でもよく思うことなのだそうです。立派なお家だけれども庭がない、一方で庭は広大なのだけれども小さなお家…こういった状態を見る度に、そこに帰り日々を営む上で‘心穏やかでいられるかどうか’ということを懸念されるとのこと。


「もちろん皆様様々なご事情があって、それらの状態に対して良し悪しをジャッジするわけではございません。家でも庭でも作る際には‘予算・時間・要望’…それぞれの兼ね合いがあり、妥協せざるを得ない場面もございますから。ただ、様々な条件を加味した上で、やはり家と庭のバランスというのは私は重要だと感じます。互いのバランス・調和がとれてこそ、初めて‘家庭’という心穏やかで安心できる場所が存在すると思うのです。」


代表はかつて、寺院にあるような古来のお庭がお好きだったとのこと。禅の精神を反映させた静けさのある空気の中で眺めるお庭の、一種鋭さや緊張感のようなものに心惹かれていたそうです。


「様々な方との出会いから、その嗜好も少しずつ変化していきました。寺院のように尖った石のあるお庭は、背筋が伸び自身のあり方について内省・内観を促してくれる美しさはあるのですが、やはり緊張感があることは否めません。次第に…自然が元々そこにあったかのような、作為の感じられないお庭を作りたいと感じるようになりました。


私自身、そのような自然の原風景の中で喧騒を忘れて日々を営みたいという思いがあったからかもしれません。私の手掛けるお庭は好き嫌いが分かれることも事実ですが、そういった意味でも私を指名してくださったお客様には、自然を感じられる良いお庭を作って差し上げたいと感じるのです。」


また、代表曰く「リラックスするものはリラックスするもので作りたい。」との事。


「私はコンクリートを使うことをあまり好みません。なるべく竹と木、石のみを使用して自然に還ることの出来るお庭を作りたいと考えております。使用するそれら自然のものも、現場で出た石をはじめ伐採した木、他材料を工夫してリサイクルして使用することを心がけております。庭の管理についても、昔からやっている方法は引き継いで、木に優しくストレスを与えない剪定を心がけております。


木が健康でなければ、良い庭にはなりません。人と同じで、健康に生活していくために必要なことを木にも行ってあげるのです。そしてそれは最終的に、施主様にも還元されていくように思います。」


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「私はかねてから石積みを得意としているのですが、石積みの良いところはコンクリートの構造物と違って風景の中で違和感が出てこない点がございます。線を引いたみたいに真っ直ぐ積むことも出来れば、自然物としての石の持つ表情も豊かです。」


また、石積みは解体した後積み直すことができるという特徴もございます。石を他の現場で再利用することはもちろん、かつて積まれた古い石積みに、繋ぐような形で新しい石積みを行うことで、新たな造成を行うことが可能です。


代表の持つ現場写真の中でも、手前にかけて新しい石積みを繋いだ現場や、初代が積んだ石積みと代表が積んだ石積みを繋いだ現場もございます。また、東日本大震災でも耐え抜くほどの強靭さがあるなど、コンクリートを使用する以上に耐久面・安全性があることも石積みの特徴です。


「石積みは汚くならず、水捌けが良いのも魅力の一つですね。コンクリートの構造物が増える中でも、残っていて欲しい風景だと感じます。また、近年では数が減ってきてしまっておりますが…竹垣もまた私にとっては残っていて欲しいものの一つです。


一口に垣根といっても‘竹穂垣’‘建仁寺垣’‘四ツ目垣’‘金閣寺垣’…他様々な種類がございます。伝統的な場所に作られた竹垣の形式は、現在も残っているものが多いですね。現在は天然竹ではなく人工竹を使用したり、またそもそも竹垣でなくフェンスに変えてしまったりと、生活・庭園スタイルの変化が如実に出ているように感じます。」


竹垣をはじめ、藤棚なども減少傾向にあるとのこと。維持管理の観点から、藤ごと伐採してしまうお家も少なくないそうです。


「先日、お客様の理解の元作り直しを行いましたが…。竹垣も藤棚も、天然の竹を使用することで古くなったものは作り替えていく必要がございますが、先人は‘風化していく様が美しい’という価値観があり、人生観として竹垣の美しさを捉えていた過去がございます。そのような日本人的美意識の元で成立し得た文化ですが、だからこそ継承されて欲しいと感じております。」


石積み・竹垣・藤棚といった象徴的なものをはじめ、‘植栽’もまた、やはり庭づくりの根幹となる要素の一つです。


「庭は作ってからがスタート。植栽後いかにきちんと手を入れてあげるかが庭づくりの要にもなってまいります。特に、自然の原風景を彷彿とさせる仕上がりを心がけている私としては、木が自然な様で風に揺られている状態を想像しながら、必要な枝とそうでない枝とを見極めながらハサミを入れて参ります。」


植物が育った5年後・10年後…といった風景を想像しながら、木々も育てて参ります。最初はただ法面だった現場も山の斜面のような仕上がりになったり、また自然に調和した木材で階段を設けることで‘元々木があったところに階段を作ったような’ストーリーが感じられるお庭に育っていくことも。


「先に申し上げたように、私のお庭は好き嫌いが分かれるお庭ですが…だからこそ大切にしてくださる方の‘庭づくり’…家と庭との調和を作るお手伝いができたらと考えております。心豊かであれる‘家庭’を作ること…それはその人の‘人生’を作ることでもあると感じるからです。」


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