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【代表の想い】vol.82[危険木伐採]


皆さんこんにちは。清水園でございます。

さて、弊社では造園にまつわる様々なお仕事を手掛ける中で、年に4〜5箇所程度「危険木伐採」を承ることがございます。


「危険木伐採」と聞くとなんとも恐ろしそうな響きではあるのですが…チルホールなどを使用し安全な方向へ倒さなければならない巨木を伐採するのが具体的な内容。今回お伝えして参りますのは、山に土地をお持ちのお客様からのご依頼でございます。


「木の多い現場ではあったのですが…中でも元々公道側に倒れそうだった木を倒れないように、お客様ご自身がワイヤーを張っておられる程の状況でした。公道も目の前にございましたので、そちら側に倒れないように留意しながら伐採をするという、なかなか緊張感のある現場です。」


伐採は、木が枯れてしまい強風などで倒れる前に倒す伐採、木が枯れていたのには気づかず風で倒れてしまい緊急で片付ける場合、隣地にはみ出たり邪魔になってしまったので切る場合…大きく3つのケースに分けられるようです。今回はいわゆる3点目のケースではあるのですが、代表曰く「伸びてほしくない方向に伸びていた木だった」との事。


「伐採で一番簡単なのは、木に登ることなくチェーンソーで切り倒してしまう方法なのですが…そういったケースは年に1・2本あるかないか、非常に稀なケースなのです。今回の危険木もそうなのですが、倒したいところに倒せないケースがほとんどです。今回の例で申し上げると、倒したい木の南側にあった木により、木は北側に伸びていたのですね。ところが、北側には公道があり造成の為地面も削っていましたので…なおさら北側に倒れてしまうと市道にはみ出してしまう危険な状況でございました。」


木を倒す場合、先にお話ししたように木に登ることなくチェーンソーで切り倒す方法、木を倒す「矢」と呼ばれる道具を木の根元に打ち込んで倒す方法、木に登りチルホールのワイヤーを掛けチェーンソーで枝を落としながら切り倒していく方法…こちらもまた3つのケースに分けることが出来るそうです。今回はもちろんの事ながら、木に登りチルホールのワイヤーを掛け倒していく方法をとられたそう。


「木に枝が残ったまま倒してしまうと、地面に枝が刺さってしまう場合があるのです。登って先に枝を落としていく際は、自分自身の足をかけるところだけ残しながら上手く切っていく必要がございます。」


無事枝を落とし上まで到達すると、いよいよチルホールのワイヤーをかけて参ります。倒れないように元々張られていたワイヤーは引っ張る方向が同じだったとの事で、そのままかけた状態で作業を進められたとの事。


「下の方では、ワイヤーを滑車に掛け倒れる方向をチルホールで作業しない場所へ変えていきます。倒す時には、当然ながら木が倒れてこない方向に作業員を避けてから木を倒して参ります。伐採の際に身を守る習慣を身につけるのに非常に重要な工程です。どんなに長い木でも滑車をかけて自分のいない方向に倒す習慣を身につけて‘方向を変えてから倒す’という事を習慣づけておきませんと、木の下敷きになってしまった…では遅いのです。」


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さて、山における「危険木伐採」、北側にある公道へ木が倒れてしまわないように、先に木へ登りチルホールのワイヤーを掛けてから切り倒して参りました。木を無事に倒した後は運搬の為玉切りを行って参ります。


「木は縦に伸びている状態ですとそこまで長く感じられませんが、倒すとやはりそのスケールの大きさには圧倒されます。木を伐採した現場からトラックまでは距離がございましたので、クレーンが届く場所・積荷の場所まで木をチルホールと滑車で引っ張って参ります。玉切りした状態でも、荷重計で測ったところその重さ約300kg…なかなかな長さ・太さだった事が分かります。」


さて、木そのものは切り終わり根が地面に残った状態になりますので、チルホールを残った根にかけ、チェーンソーで切断して行かれるとのこと。トラックに積み込んで参りますが、4トントラックもいっぱいになる量です。


「今回は、スギ2本・カヤ1本・ハンノキ1本の計4本を伐採致しました。伐採の際は、受け口を切りチェーンソーで一度木が倒れる反対側に1/3程度入れてからチルホールでテンションをかけて参ります。チルホールである程度のところまで引っ張りましたら、そこから追加で2/3程度のところまで切る…という段取りです。

通常ですと、切り口に対して4/5程度切りますと木は自重で倒れてくれます。ただし、それですと倒れてほしくない方向に倒れてしまうことがほとんどなので…切り口をある程度入れて、倒れて欲しい方向へ傾く程に引っ張り、引きちぎる…といったイメージでしょうか。40〜45度傾けば、後は自重に任せ倒れてくれます。」


代表は、石積みもですがこういった木の伐採もお好きなようで…積極的に現場に出られ自ら木を伐採されるそうです。もちろん、後世の育成も兼ねて社員教育に抜かりはございません。


「こと伐採に関しては、‘予想外のケース’が無いように…とにかく失敗しないようにしなければなりません。実際、1トン以上の巨木が上から倒れてくるのですから命懸けの作業…簡単な気持ちで木を切ってはいけないのです。道具の準備は非常に重要で、途中でワイヤーが切れてしまった・道具が小さすぎて使えなかった…という失敗は御法度。木を切り始めたら途中で諦めて帰る事は出来ませんからね。一度現場を拝見した際に、万が一倒せない事が無いように道具のストックは必ず持って行きます。


例えば、チェーンソーのエンジンがかからなくて使えない…など、無いように2台持参するといった具合です。こういった道具の準備をはじめ、‘必ず倒す’といった精神面での耐性も非常に重要です。小さい木を100本確実に倒せるようになってから、初めて大きな木を倒す。どんなに肝が据わっていたとしても、やはり大きな木を前にすると誰しも慄くのは当然です。恐怖心が無くなる事はないのですが、倒す工程が想像でき頭の中で倒せるようになる事が大事なのです。」


代表曰く「最高の野球選手の打率が4割だとしたら、我々は伐採において8割を超えて行かなければならない。」との事。4割では事故や怪我など失敗ではすまされないのです。いかに「危険木伐採」が大変なお仕事であるかを実感致します。


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